2025年2月のアップデートでLightroom ClassicやPhotoshopのCamera RAWにアダプティブプロファイルというAIを使用した新機能が追加されました。瞬時に適切な初期調整が行われるのでRAW現像のワークフローが簡素化されます。
今回はLightroom ClassicやPhotoshopのCamera RAWの新機能アダプティブプロファイルの特徴や使い方を実例と共に詳しく解説します。
Lightroomのアダプティブプロファイルとは?
Lightroom ClassicやPhotoshopのCamera RAWに新たに追加されたアダプティブプロファイルはAIが自動的に最適な色や階調に初期調整してくれる機能で、RAW画像のみに適用できます。
今までもLightroom Classicには既存のプロファイルがあり、『Adobeカラー』がデフォルトで選択されるように設定されていますが、それ以外にもAdobeスタンダード、ニュートラル、ビビッド、ポートレート、風景、カメラのメーカーの機種ごとにマッチしたプロファイル、アーティスティックやビンテージなど、様々なプロファイルの選択が可能になっています。知らずにデフォルトのAdobeカラーだけを使用している方が意外と多いかもしれません。
そして、新規追加されたのがアダプティブプロファイル(カラー、白黒)となります。アダプティブプロファイルは、AIがRAWファイルを個別に分析して自動調整するのが最大の特徴です。プロファイルは自動補正やプリセットに似ていますが、各種パラメーターが変更されないと言ったメリットがあります。
以下は、アダプティブプロファイルを適用したサンプルです。露出オーバー気味の空部分の露出が補正され、ディテールが見えるようになりました。初期調整でこの仕上がりなので、残りの現像作業が楽になります。


プロファイルとプリセット・自動補正の違い
プロファイルとプリセットや自動補正の違いは各種パラメーターが変更されるか否かで、基本的にプロファイルとプリセットは、RAWファイルに施している内容は同じです。
プロファイルの場合は適用しても各種パラメーターの数値が初期状態のままですが、プリセットや自動補正の場合は適用すると各種パラメーターの数値が変更されます。
以下のサンプルは、アダプティブプロファイルを適用していますが各種パラメーターは初期状態のままです。
一方の自動補正を適用した場合は、各種パラメーターの数値が変更されています。アダプティブプロファイルよりも空のディテールの再現性が劣っているように見えます。
アダプティブプロファイルを使うメリット
現像作業の時短
アダプティブプロファイルを使う最大のメリットは、RAW現像作業のワークフローの時短です。今までは自分自身で各種パラメーターを全て調整して色調補正を行っていましたが、アダプティブプロファイルならAIがそれぞれのRAWファイルを最適に近い状態に初期調整してくれるので、自身で行う調整が少なくなり時短になります。
明暗差のある写真が特に有効
今までの既存のプロファイルは露出が殆ど調整されなかったのですが、アダプティブプロファイルはAIの分析によって露出を適正に補正してくれるので、明暗差のある露出オーバーもしくは露出アンダー気味の写真は劇的変化が期待できます。
補正の幅に余裕がある
アダプティブプロファイルを適用しても各種パラメーターが初期状態なので、補正の幅に余裕があり、少し強めの色補正が可能になるといったメリットがあります。もう少しハイライトを抑えたいとか、シャドーを上げたいとか、明暗差のある写真ではアダプティブプロファイルがおすすめです。
アダプティブプロファイルの使い方
RAWファイルを選択
まず、Lightroom Classicを現像モジュールにし、アダプティブプロファイル適用したいRAWファイルを選択した状態にします。基本的に適用できるのはRAW画像のみですが、LightroomのAIノイズ除去を施したDNGファイルやDxO CameraRAWで最適化したDNGファイルにも適用できます。
※JPEGやTIFFファイルは適用できません

アダプティブプロファイルでRAW画像を選択
プロファイル一覧からアダプティブプロファイルを選択
画面の右パネル上部の基本補正の項目にあるプロファイル一覧からアダプティブプロファイルを選択するだけですが、少しトリッキーです!

プロファイルの矢印付近をクリック
プルダウンの中には【アダプティブプロファイル】と言う文字がありませんが、実は【使用中の色に合わせて割り付ける カラー】もしくは【使用中の色に合わせて割り付ける 白黒】がアダプティブプロファイルになります。

使用中の色に合わせて割り付けるがアダプティブプロファイル
プロファイルの適用量を調整
アダプティブプロファイルの適用後は、スライダーを使用して0~200の範囲で適用量の調整が可能になります。デフォルトでは中間の100になってるので、好みに合わせて写真を見ながら調整します。

プロファイルの適用量をスライダーで調整
あとは通常通り現像するだけ!
アダプティブプロファイルで初期調整したら、あとは今までと同じように色味や階調を調整して現像していけばOKです。
注意点
アダプティブプロファイルの適用後に以下の操作を行った場合、更新する必要があります。
- 除去または修復(適用、移動、または削除)
- 画像の回転または反転
- ぼかし(レンズ)の適用
更新が必要な場合はパネル上に赤点「●」で注意表示されるので、プロファイルのパネルに表示される更新ボタンをクリックすればOKです。更新しても各種パラメーターがリセットされたり、色調が大きく変わることは無いのであまり気にしなくても大丈夫です。

アダプティブプロファイルを更新する
まとめ
Lightroomのアダプティブプロファイルは一見地味な新機能かと思いきや、使ってみると意外と革新的で写真のRAW現像では非常に重宝する機能かと思います。特に明暗差のある写真にアダプティブプロファイルを適用すると初期段階である程度の所まで補正してくれるので現像作業が楽になります。
ただし、あくまでAIが処理するので、写真によっては思ったような仕上がりにならないのであまり過信はしない方が良いかと思います。RAW現像が苦手な方や作業時間を短縮したい方は是非試してみる価値はあると思います。