一眼カメラの性能が進化するにつれ、より高速で大容量なメモリーカードが求められるようになり、その中でCFexpressカードが記録媒体の規格の一つとして注目され、最近の上位機種の一眼カメラに導入されつつあります。
今回は一眼カメラで使われるCFexpressカードの基本的な概念と、Type AとBのそれぞれの特徴や違いなどを詳しく解説します。
CFexpressカードとは?
CFexpressカードは、コンパクトフラッシュ(CompactFlash)カードの進化版として、高速データ転送と大容量ストレージを実現するために開発された記録メディアで、一眼カメラでの高速連射撮影や高画素&高画質での動画撮影に適しています。
日々進化している一眼カメラの性能を十分に発揮するには、読み書き速度に限界があるSDカードに代わって、読み書き速度が圧倒的に速いCFexpressカードが採用されるようになってきました。
CF(コンパクトフラッシュ)カードの歴史は意外と長く、大まかに説明すると、SDカードが普及する前は、CFカードが使われていましたが、その後は衰退し、XQDカードで復活し、更にCFexpressに進化し現在に至ります。今後は、一眼カメラでは高速&大容量のCFexpressカードが主流になってくるかと思われます。
CFexpressカードには「Type A」、「Type B」、「Type C」の3種類があり、現状ではType AとBのみが製品化されています。それぞれサイズに違いがあり互換性がないので注意が必要です。
CFexpressのType AとBの違い
現在一眼カメラで使用されているCFexpressカードには、Type AとType Bの2つの主要なフォーマットがあります。それぞれの特徴と違いをまとめてみました。
サイズや速度が違い、互換性が無い
そもそもCFexpressカードのType AとType Bは、サイズが違いType Bの方が若干大きくなり、互換性がありません。また、データ読み書きの上限速度にも違いがあり、Type Bの方がType Aより2倍近く速いのが特徴です。
サイズ(W×H×D) | 書込 | 読込 | |
---|---|---|---|
CFexpress Type A | 20.0 × 28.0 × 2.8mm | 700MB/秒 | 800MB/秒 |
CFexpress Type B | 29.8 × 38.5 × 3.8mm | 1500MB/秒 | 1700MB/秒 |
採用しているメーカーが違う
CFexpressカードを採用しているメーカーは近年増えていますが、Type Aはソニーのみ、Type Bはそれ以外のメーカーが採用しています。
採用メーカー | |
---|---|
CFexpress Type A | ソニー |
CFexpress Type B | ニコン、キヤノン、パナソニック、富士フイルム |
CFexpressのType Aは、SONY以外のメーカーからはあまり発売されていなく競争が少ない状態なので、価格が少し高めな点が大きなデメリットとなります。また、読み書きの速度もType Bに比べると半分くらいのスピードで、将来的には衰退していく恐れもあるかもしれません。
CFexpressのType AとBは互換性が無いので、他社カメラで使い回すことができず、乗り換えがしにくいと言った懸念点もあります。
ソニーは規格争いで度々敗北しているイメージがありますが、CFexpressの覇権争いでもソニーが負けてしまった感があります。
CFexpressの特徴とSDカードとの違い
つづいて、CFexpresと現在主流となっているSDカードとの違いを比較してみました。
読み書きが高速
CFexpressの最大の特徴は、読み書きの速度がSDカードに比べると圧倒的に速く、SDカードの書き込みが最大250MB/s程度に対して、CFexpressのType Bは最大1500MB/秒で6倍の差があります。
書込 | 読込 | |
---|---|---|
SDカード | 250MB/秒 | 300MB/秒 |
CFexpress Type A | 700MB/秒 | 800MB/秒 |
CFexpress Type B | 1500MB/秒 | 1700MB/秒 |
SDカードとは互換性がない
基本的にCFexpressとSDカードは、規格やサイズが違うので互換性が全くありません。その為、CFexpressを導入する場合、CFexpress対応のカメラであることは当然ですが、PCに画像ファイルを取り込む際にはCFexpress専用のカードリーダーが必要になってきます。
サイズ(W×H×D) | |
---|---|
SDカード | 24.0 × 32.0 × 2.1mm |
CFexpress Type A | 20.0 × 28.0 × 2.8mm |
CFexpress Type B | 29.8 × 38.5 × 3.8mm |
CFexpress Type A用のカードリーダーはやや種類が少ない。
Type Bのカードリーダーは様々な価格の製品が発売されていますが、CFexpressの恩恵を最大限に活用するにはカードリーダー側の読込速度も重要になってきます。
最大転送速度10GbpsでThunderbolt 3ポートに対応したカードリーダー。もちろんPC側の転送速度が高速である必要があります。
低価格になりつつある
CFexpressは高価なイメージがありますが、普及するにつれて値段が安くなってきているのが現状です。製品によってはハイエンドなSDカードよりも、CFexpressカードの方が安く入手することが可能です。
同メーカーの容量が同じのハイエンドSDカードと低価格帯のCFexpressを比較してみると、CFexpressの方が安く、性能もCFexpresカードの方が上になります。
ただし、唯一ソニーが採用しているCFexpress Type Aは、種類が少なく、価格も若干高めのままなのが懸念材料です。読み込み800MB/秒、書き込み700MB/秒とスペック的には、最上位モデルと言って良いかと思います。
ちなみにProGradeの最上位の同シリーズ「COBALT」のType Bは、読み込み1800MB/秒、書き込み1700MB/秒とスペックがType Aよりも上にも関わらず、価格は安い設定となっています。
まとめ
一眼カメラの高性能化に伴い高画素&高速データ転送と大容量ストレージをが必要になり、CFexpressカードが次世代のメモリーカード規格としてSDカードに代わり普及してくるかと思います。Type AとType Bの2つのフォーマットがありますが、Type Aを採用したソニーの一人負けの様相を呈している感は否めず、今後は高速&大容量なType Bが主流となるかと思います。
カメラの性能を十分に発揮させて高速連射で撮影したい人、6Kや8Kなどの高解像度での動画撮影をしたい人は、CFexpressカードを導入する価値は十分あるかと思います。逆に、SDカードでの撮影に何の問題もないという人は、無理にCFexpressを使うメリットはあまり無いかと思います。
また、PCの転送速度が遅いと画像を取り込む際にCFexpressの速さの恩恵を受けれなくなるので、できればPCもアップグレードすることをおすすめします。