2021年10月にLightroom Classicの大規模アップデートによりマスク機能が強化され、人工知能のAIが被写体や空を認識し自動で選択する機能などが追加されました。また、マスク機能のUIも一新され使い方も若干変更になりました。
今回は、大規模アップデート後のLightroom Classic Ver.11のマスク機能の種類と使い方を詳しく解説したいと思います。
新しくなったLightroomのマスク機能
今回のLightroomのアップデートにより、以前よりも高度なマスクが可能になり、Photoshopを使わなくても現像できる幅が広がりそうです。それに伴い、UI(ユーザーインターフェース)も新しくなっています。
新しいUI
以前のLightroomは、段階フィルター、円形フィルター、補正ブラシがそれぞれ独立していましたが、アップデート後は『マスク』の中に集約され、アイコンをクリックすると、メニューが表示されまるようになりました。
被写体や空の自動選択
従来通りのブラシ、線形グラデーション・円形グラデーション、カラー範囲マスク、輝度範囲マスクの他に、新たに加わった便利な機能が、『被写体を選択』と『空を選択』です。
人工知能のAIが写真内の人物、動物、またはオブジェクトや空を認識し、ボタン一つで自動選択できる機能です。
ただし、被写体や空が複雑だったりするとマスクの精度がイマイチで、綺麗に選択できない場合があります。
木の枝が複雑な写真で空の自動選択をしてみたのですが、枝の隙間はぼんやりとした感じで大雑把にマスクされています。
結果を分かりやすくする為に、強めに露光量を落としてみると、マスクの精度が低いのが確認できます。
自動選択で上手くマスクできない場合は、従来通りの線形グラデーションで大まかに空を選択した後、輝度範囲で微調整したほうが良さそうです。
AIが自動で選択してくれるのは非常に便利なのですが、完璧ではない場合もあるので、しっかりと確認をした上で、ケースバイケースで手動で微調整をするのが良いかもしれません。
Lightroomのマスク機能の使い方
Lightroomの従来からある段階フィルター、円形フィルター、補正ブラシなどを含め、基本的な使い方に大きな変更はありませんが、刷新されたUIの操作方法を解説します。
マスク範囲の追加・削除
マスクを作成した後、任意のマスクツールを使用して、マスク範囲に領域を追加したり、削除することができます。
マスク範囲を追加するには【追加】ボタンをクリックし、マスク範囲を削除したい場合は【減算】ボタンをクリックし、使用したいマスクツールを選択します。減算という言葉が非常に分かりにくいですが、削除するという事です。
下の例では、空を自動選択してから、ブラシツールで微調整するといった工程になります。
自動選択だけだと空以外の個所もマスクされているので、ブラシツールを使って不要な部分を削除して、マスクを微調整することができます。
上の例以外にも、一括でグラデーションツールでマスクした後に、その中の被写体だけを自動選択ツールを使って削除したり、マスク範囲の追加・削除を駆使すると比較的複雑なマスク処理が可能になります。今まではPhotoshopを使わないと出来なかったマスク処理がLightroomだけで完結出来てしまうと言うのはかなりの進化だと思います。
マスクの管理
新しくなったLightroomのマスクは、使用している各マスクがレイヤーの様に表示され管理しやすくなりました。
グループごとにマスクが管理でき、各マスクに対して任意の名前を付けることが可能なので、一目で何のマスクなのか判断できる点も非常に便利です。
下の例では『マスク1』というグループの中に、空1、ブラシ1、ブラシ2のマスクが存在しているのが一目で分かります。補正効果が反映されるのはグループ全体で、個別のマスクに反映させることができないので、別の補正効果を施したい場合は、『新しいマスクを作成』をクリックして、新たなマスクのグループを追加する必要があります。
マスク一覧の先頭にあるアイコン、もしくは写真上にある小さいアイコンにカーソルをマウスオーバーすると個別のマスクだけが表示さ、マスクの内容が目視できるようになっています。それらのアイコンをクリックすれば、マスクの編集を行うことができます。
まとめ
今回のLightroom Classicの大型アップデートで強化されたマスク機能は、それほど派手なものではありませんが、地味に重宝する機能かと思います。今まではPhotoshopでしか出来なかったような複雑なマスク処理もLightroom Classicでも出来るようになり、写真現像のワークフローがよりシンプルになり、表現できる幅も広がるのではないでしょうか?
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