一眼カメラの記録媒体としてSDカードが一般的に使用されていますが、色々な種類があり値段もピンキリでどれを選んで良いのか迷ってしまいます。値段だけでSDカードを選んでしまうとカメラの性能を十分に発揮できないだけでなく、エラーが発生して写真が保存できなくなる場合もあります。
今回は、一眼カメラに最適なSDカードの種類や書き込みスピードなどを詳しく解説し、撮影スタイルに合わせた選び方をご紹介します。
SDカード規格 SD / SDHC / SDXCの違い
SDカードには、SD、SDHC、SDXCの3種類の規格が存在しますが、容量が違うだけであまり気にすることはありません。技術の進歩とともにSDカードが大容量化して、新しい規格として、SDHC(SD High Capacity)、SDXC(SD Extended Capacity)が追加されました。
2010年以降に発売されたカメラであれば、殆どの機種でどの規格のSDカードでも読み込めるので、あまり気にしなくても大丈夫です。
例えば、古いカメラでSDしか対応していなければ、SDHCやSDXCを読み込むことはできないので注意が必要でが、逆にSDXCが読み込める場合は、SDやSDHCも読み込めるので問題ありません。
規格 | 容量 |
---|---|
SD | 128MB~2GB |
SDHC | 4GB~32GB |
SDXC | 64GB~2TB |
SDカードのスピードクラスの違い
一眼カメラに使うSDカードで重要になってくるのがスピードクラスです。同じ容量のSDカードでもスピードクラスの違いで、カメラの性能を十分に活かせるかどうかが決まってきます。
スピードクラスとは?
SDカードのスピードクラスとは、データ転送速度の目安となる基準で、数値が大きいほど高速にデータを転送できるため高性能になります。
スピードクラスの種類
SDカードのSDスピードクラスはClass 2~10の5種類あり、Classの数字が1秒間に最低でも『何』MB転送できるかという意味です。例えば、Class 10なら、1秒間に10MBのデータを最低でも転送できると言うことになります。現在のSDカードのほとんどはClass 10になります。
SDスピードクラスよりも高速転送が可能なのが、UHS(Ultra High Speed)スピードクラスになります。更に、動画撮影向けの転送速度ビデオスピードクラスの規格もあります。
Class | 最低保証速度 |
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Class 2 | 2MB/s(秒) |
Class 4 | 4MB/s(秒) |
Class 6 | 6MB/s(秒) |
Class 8 | 8MB/s(秒) |
Class 10 | 10MB/s(秒) |
UHS 1 | 10MB/s(秒) |
UHS 3 | 30MB/s(秒) |
ビデオスピードクラス V30 | 30MB/s(秒) |
ビデオスピードクラス V60 | 60MB/s(秒) |
ビデオスピードクラス V90 | 90MB/s(秒) |
インターフェイスのUHS-IとUHS-IIの違い
SDカードのインターフェイスは、UHS-I、UHS-IIの2種類があり若干の形状が異なります。現状では、UHS-Iは一般的に普及しているタイプで、一方のUHS-IIは転送速度がより速いのが特徴で、高画素な画像や4K動画などを扱う新しい上級機種のカメラはUHS-II対応となっている場合があります。
UHS-II対応カメラは、ニコンならD850やD780、キヤノンはEOS R、ソニーはα7III、α7RⅢ、α9以降の最新モデルなどになります。カメラの性能を十分に活かすならUHS-IIをするのがおすすめです。
ただし、UHS-IとUHS-IIはどちらも互換性があるので、UHS-II非対応のカメラであっても使用可能でUHS-Iの転送速度で使うことができます。逆にUHS-II対応であれば、UHS-Iを普通に使うことが可能です。
『読み込み』と『書き込み』のスピードの違いに注意!
SDカードのスピードクラスは最低保証速度なので、実際にはそれ以上のスピードでデータを転送することができ、SDカードに転送速度を表記している製品もあります。しかし、SDカードに表記しているスピードは、読み込みの場合が殆どなので注意が必要です。
転送には『読み込み』と『書き込み』の2種類があります。
『読み込み』は、撮影後にSDカード内のデータをパソコンなど別の場所にデータを読み込ませる場合に影響し、一方の『書き込み』は、撮影時に写真や動画データをSDカードに保存する際に影響します。
撮影には書き込み速度が重要
高画素モデルの一眼カメラや動画撮影、RAWファイル保存での高速連射をする場合は、撮影した写真や動画を瞬時に保存できる書き込み速度の速いSDカードを選ぶことが重要です。
書き込み速度の遅いSDカードを使用すると、動画撮影や高速連射している最中に途中でカメラが止まったりしてシャッターチャンスを逃してしまう原因になります。
カメラメーカー推奨のSDカードが安心
どんなにスペック的に良いSDカードであっても、実はカメラとの相性があってエラーが頻発してしまう特定メーカーのSDカードがあります。ニコンの一眼レフカメラはTransendのSDカードと相性が良くなく、エラーが出て撮影ができなくなってしまう事があります。
カメラの説明書には、メーカーが動作確認済みの使用できるSDカードが記載されているので、推奨しているSDカードを使うのが安心です。ちなみにニコンの場合は、SanDisk、東芝、パナソニック、Lexarは使用できるSDカードとして説明書に記載されています。ニコン以外のメーカーもSanDiskや東芝が無難なようです。
まずは、カメラに適合するメーカーを選び、それからスペックを絞り込んでいくと最適なSDカードを手にすることができると思います。
撮影スタイル別のおすすめSDカード
普通に撮影する場合(2400万画素モデル)
高速連射もしなければ動画も撮影しないという場合なら、スピードクラス10、転送速度40MB/s程度あれば十分かと思います。
64GBの容量で撮影可能枚数が、RAW(14 bit)保存で1200枚前後、JPG保存なら4000枚前後は可能です。
タイムラプス用にインターバル撮影など一度に大量の写真を撮影する場合は、少し余裕のある128GBを選べば安心です。
高画素機種や動画撮影もする場合
高画素モデルの一眼カメラや高速連射、動画撮影をする場合は、容量が大きめの64GB以上で、スピードクラス10&UHS 3、転送速度は90MB/s以上が安心して使えるスペックになります。
特に4K動画やフレームレート(fps)の高い動画撮影では書き込みスピードが非常に重要になり、動画撮影に向いているSDカードには、ビデオスピードクラスV10、V30、V60などの表記されています。
V30
V60
転送速度の速いUHS-IIのSDカードはV60でもやや値段が高めです。
V90
V90になると種類が少なく値段はかなり高くなります。
まとめ
SDカードと一言で言っても、日々進化していて、次から次へと新しい規格が出てきて、スペックは数字だらけで分かりにくくなっていますが、要するに数字の大きい物がハイスペックだと理解しておけば間違いないと思います。
一昔前と比べたら、SDカードの値段はかなり下がり、ハイスペックで大容量のものでも購入できるようになってきたので、あとは自分の撮影スタイルに合わせた最適なSDカードを選べば良いのではないでしょうか?