一眼カメラを初めて買う場合、大抵はズームレンズから始まり、次に単焦点レンズへとステップアップするかと思います。焦点距離が固定でカメラ初心者にとっては不便に思える単焦点レンズですが、ズームレンズにはないメリットが有るが故に多くのプロカメラマンも愛用しています。
今回は、初心者向けに単焦点レンズの特徴やメリット、そして目的別のお手頃価格のおすすめレンズをご紹介します。
単焦点レンズとは?
単焦点レンズとは、文字通り、焦点距離が一つしかないレンズの事を言います。例えば、焦点距離が35mmの単焦点レンズであれば、35mmでしか撮影することがきません。
単焦点レンズの場合は、ジャストな画角に収める為には自分が動いて調整しなければならなく、場合によっては動ける範囲が制限されてしまい思ったような撮影ができないなど不便な点があるのも事実です。
一方、一つのレンズに焦点距離が複数あるのがズームレンズです。焦点距離が24-105mmなど、カメラに最初から同胞されているレンズキットは大抵ズームレンズです。ズームレンズは、自分の撮影位置を移動しなくても焦点距離を変えられるので圧倒的に便利で、使い勝手が良いのが特徴です。
単焦点レンズの特徴とメリット
便利さで言えば圧倒的にズームレンズの方が有利ですが、多くのプロカメラマンも愛用する単焦点レンズにはズームレンズにはない特徴やメリットがあります。
画質が良い
単焦点レンズは、ズームレンズに比べると歪みや収差が少なくなり画質が良いのが大きな特徴です。構造的にシンプルになるので、安価な単焦点レンズであっても、キットレンズに比べれば描写力や解像力が向上し画質が良いのが実感できます。
もちろん、単焦点レンズでもピンキリで、高価なレンズになればなるほど、四隅の収差や歪みがなくなり、カメラの性能を最大限に引き出してくれます。
明るいレンズが多い
単焦点レンズには、f値の少ない明るいレンズが多く存在し、しかもf1.8位の明るさのレンズであれば比較的安価で手に入れることができます。少し高価な単焦点レンズになるとf1.4や、中にはf1以下の驚異的な明るさのレンズも存在します。
一方のズームレンズの場合は、明るくてもf2.8というのが一般的で、それよりも明るいズームレンズはほとんど存在しないのが現状です。構造的な部分とコスト面を考えると難しいのかもしれません。ただし、例外的にシグマが発売しているAPS-C用の18-35mmと50-100mmのズームレンズにf1.8というのがあります。
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art A013 | Canon EF-Sマウント | APS-C/Super35
SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM | Art A016 | Canon EF-Sマウント | APS-C/Super35
ボケを活かした写真が撮れる
明るい単焦点レンズは、被写界深度の浅いボケを活かした写真が撮影しやすいというメリットもあります。キットレンズでもボカすことはできますが、やはり明るい単焦点レンズならではのふんわりとした柔らかいボケ味を誰でも手軽に表現することができ、一眼カメラらしい写真に仕上がります。ポートレート撮影では明るい単焦点レンズが良く使われています。
暗い場所での撮影が可能
光の少ない星景撮影ではf2.8以下の明るいレンズを使うことが重要となります。f2.8のズームレンズでも星景撮影を行うことはありますが、やはり真っ暗な場所では、むやみにISO感度を上げることなく撮影ができる明るい単焦点レンズの方が圧倒的に有利になります。
例えば、f1.4とf2.8のレンズを比較すると、明るさに2段分の差があり、ISOだと1600と6400の違いになり、ノイズ量がかなり抑えられ、シャッタースピードも速くすることで星を点として撮ることが可能になります。
軽くてコンパクト
単焦点レンズの構造がシンプルになるということは、ズームレンズと比べるとサイズも小さくコンパクトになり、重さも軽くなるといったメリットもあります。特に通しでf2.8の明るさのズームレンズだと重さが1kg以上ありサイズも大きいのに対して、単焦点レンズならf2以下の明るさでありながら、軽いものであれば200g前後、重くても600g前後程度になります。
例えば、Nikonの撒き餌レンズといわれる単焦点レンズのAF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gであれば、高さ52.5mm、重さ185gと非常にコンパクトで持ち運びが簡単です。
初心者におすすめの【目的別】単焦点レンズ
初めて単焦点レンズを購入する初心者の方にとっては、色々な種類があって、値段もピンキリなので、迷ってしまうので、目的別でお手頃価格なおすすめの単焦点レンズを厳選してご紹介します。
標準画角の撒き餌レンズ
初めて単焦点レンズを買う初心者の方には、各カメラメーカーが発売している格安だけど写りが良いと言われる撒き餌レンズがおすすめです。いわゆる標準レンズといわれる焦点距離が50mmの画角でf1.8の明るさがあり、スナップや風景、ポートレートなど、オールマイティに何でも使えます。また、APS-C機で使えば75mmの中望遠レンズとして使うことも可能です。
ニコンAF-S 50mm f1.8G
ニコンのAF-S 50mm f1.8Gは、フルサイズ対応で軽量&コンパクトの初めて買う単焦点レンズとして定番中の定番の撒き餌レンズ。
CANON EF50mm f1.8 STM
キヤノンのEF50mm F1.8 STMもフルサイズ対応の軽量&コンパクトな単焦点レンズで、他メーカーと比べると更に格安で驚異の2万円以下の撒き餌レンズ。
ソニー FE 50mm F1.8
ソニーのミラーレス機Eマウント用のFE 50mm F1.8もフルサイズ対応の軽量&コンパクトな単焦点レンズ。
ポートレート向け
ポートレート向けの単焦点レンズとしてはは、焦点距離がやや長めの中望遠から望遠がおすすめです。カメラメーカー各社の純正の中望遠85mmもあり、ボケが美しくポートレートレンズとして人気があります。
TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO 1:1
銘玉タムキューで知られるTAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO 1:1はボケが美しいポートレート用として人気が高い中望遠の単焦点マクロレンズです。古いモデルですが、今でも人気のあるレンズで、マクロで寄りの撮影にも使えるのが特徴。
新型タムキューのF017
Nikon AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G
ニコンのAF-S NIKKOR 85mm f/1.8Gは、f1.8と非常に明るい単焦点レンズでポートレートの入門レンズとして人気です。
Canon EF85mm F1.8 USM
キヤノン純正の中望遠85mmの単焦点レンズEF85mm F1.8 USMは、実売価格5万円を切るお手頃なポートレート用として活用できるお手頃なレンズ。
ソニー FE 85mm F1.8
ソニー純正の中望遠85mmの単焦点レンズもf1.8という明るさで、シャープな描写と自然で美しいぼけ味が楽しめるポートレートにぴったりなレンズ。
星景向け
星景写真向けの単焦点レンズは広範囲で写せる超広角から広角が撮影しやすくおすすめです。
SAMYANG 14mm F2.8 ED AS IF UMC
SAMYANGの超広角単焦点レンズ14mm F2.8 ED AS IF UMCは、星景撮影用として大人気。マニュアルフォーカスの為、お手頃価格で初心者にもおすすめです。価格の割に収差も少なく星の写りが綺麗で評価は高い。
SAMYANG 24mm F1.4 ED AS IF UMC
SAMYANGの広角単焦点レンズ24mm F1.4 ED AS IF UMCは、海外で星景撮影用として非常に評価の高い人気のレンズ。24mm f1.4と言うスペックは、純正メーカーなら20万円弱、サードパーティ製でも10万円弱する中、SAMYANGはマニュアルフォーカスと言うこもあり破格の値段ですが、写りも抜群に良いのが特徴。f1.4という明るさは星景撮影ではかなりの恩恵があるのでおすすめです。
まとめ
ズームレンズは便利で使い勝手が良いのですが、ボケを活かした写真、ポートレート写真、星景写真を撮るなら単焦点レンズがおすすめです。
最初のうちは単焦点レンズは不便で使いにくいと感じていても、次第に固定された焦点距離にも慣れてきて、自分と被写体との距離感が自然と掴めてきます。自分には使いこなせるのかなぁと不安を抱いている初心者の人でも、とりあえず、安価な単焦点レンズからチャレンジしてみてはいかがでしょうか?