一眼カメラ任せのオートモードで月を撮影すると思ったよりも明るいので月の表面が白とびして失敗していまいます。難しいと思われがちな月の撮影ですが、非常に簡単な設定で初心者でも上手く綺麗に撮ることができます。今回は、誰でも簡単に撮れる月の撮影方法を解説します。
月を撮影するのに必要な機材
一眼カメラ
フルサイズ、APS-C、フォーサーズなどマニュアル設定可能な一眼レフもしくはミラーレス一眼カメラがおすすめで、センサーサイズが小さいAPS-Cやフォーサーズ機の方がより大きく月を撮影できるメリットがあります。APS-C機は35mm換算すると1.5倍(キャノンは1.6倍)、フォーサーズなら2倍の焦点距離になるので望遠での撮影が有利になります。
200mm以上の望遠レンズ
月を撮影するなら出来るだけ焦点距離の長い望遠レンズの方が大きく撮影できますが、画角いっぱいの迫力ある月を撮影するには1000mm以上の本格的な機材が必要になってきます。
とりあえず、月を撮影するならエントリーモデルの一眼レフカメラのキットレンズのダブルズームの300mm程度の望遠で十分です。フルサイズ機で200mmだとちょっと物足りないので、できれば35mm換算で300mm以上あった方が良いかと思います。
以下のサンプルは実際に月を撮影した時の画角の違いによる大きさの目安です。左からフルサイズ機に300mmレンズ、次にAPS-C機に300mm(35mm換算で450mm)、フルサイズ機に2倍のテレコンで600mm、APS-C機に2倍のテレコンで900mmの画角になります。
思ったよりも月は小さく写りますが、トリミングして大きく使うと月のクレーターの凹凸や表面の模様も十分確認できるサイズです。
月の撮影におすすめの入門望遠ズームレンズ
とりあえず、試しに月を撮って見たいのであれば、驚きのお手軽価格の超コスパな一眼レフのフルサイズ機対応の望遠ズームレンズがシグマとタムロンから発売されています。しかも両方ともマクロ機能付きで遠い物から近くの物まで、初めての望遠レンズとしてはおすすめです。
本格的な望遠ズームは必要ないけど、ある程度の画質で手振れ補正機能付きならTamron70-300mmのA030がおすすめです。
焦点距離が400mm以上の本格的な望遠ズーム
本格的な望遠ズームで400mm以上と焦点距離が長くオートフォーカス性能など良いので、月以外にも、野鳥や動物、風景、スポーツなど様々なシーンで使う事ができます。
もっと焦点距離を伸ばしたいならテレコン
もっと月を拡大して撮影したいならテレコンを使用することで比較的安価で簡単に焦点距離を長くすることができます。但し、テレコンを使用すると画質が低下するデメリットもあり、メーカー純正のテレコンの場合、対応しているレンズが少ないと言った制約も多いので購入前に確認する必要があります。
三脚
月を撮影する時のシャッタースピードはそれ程遅くはないですが、望遠で撮影する為ブレやすくなるので三脚でしっかりと固定したほうが失敗は少なくなります。
レリーズ
カメラのタイマーなどでも対応できますが、カメラに触れずにシャッターが切れるレリーズやリモコン、wifi経由のカメラアプリを使用するとブレを防止できます。
月撮影の設定方法
撮影モード
月は意外と明るいので、オートモードなどカメラ任せで月を撮影すると大抵は白とびして月が真っ白になってしまいます。一眼カメラ初心者が苦手とするマニュアルモードで撮影しますが、設定は簡単なので怖がらずに挑戦してみてください。
絞り
絞りはレンズの画質が一番良いf8前後に設定しておけば間違いありません。
シャッタースピード
月齢によって月の明るさが違う為、その時に応じてシャッタースピードを微調整して数枚撮り比べると失敗が少なくなります。明るすぎると月の表面の模様が白飛びしてしまうので、気持ち暗めにしておいた方が良いと思います。
- 満月:1/250前後
- 半月:1/30前後
- 三日月:1/10前後
月の動くスピードは思っている以上に速いので、半月や三日月の撮影時にシャッタースピードが遅くなりブレた感じになってしまう場合は、ISO感度を上げてシャッタースピードを速くするのがコツです。
ISO感度
出来るだけ綺麗な画質で月を撮影したいのでISO感度は100で良いかと思います。特に、トリミングして大きくして使いたい場合は、より綺麗な低感度なISO設定がおすすめです。
ホワイトバランス
ホワイトバランスは若干黄色っぽくなる【昼光】がおすすめですが、RAW保存で撮影するのであればオートにしておいて、現像する時に変更しても良いかと思います。
ピントはマニュアルで合わせる
望遠なのでピント合わせは結構微妙な加減でピントを合わせる必要があります。カメラのモニターを見ながら月を最大限に拡大表示して、月の輪郭が一番シャープになる所でピントを合わせるのがコツです。もしくは月のクレーターが見える場合は、クレーターが一番シャープになる所でピントを合わせます。
ホワイトバランスで雰囲気を変える
RAWで撮影すれば撮影後でも簡単にホワイトバランスを変更できるので、いろいろと変更してみて自分好みの月の色に変えてみるのも楽しいです。ホワイトバランスを変えるだけで、月の雰囲気がガラリと変化します。以下は現像ソフトのLightroomでホワイトバランス設定を変えたサンプルです。
正確な月の位置を把握する方法
風景と一緒に月を撮影する場合、月の正確な位置を把握する必要があり、事前に綿密な計画を立てることが重要になってきます。そんな風景写真を撮るときに月や太陽の位置をマップ上で把握できる便利なスマホアプリPhotoPillsがおすすめです。
また、パソコンで撮影プランを立てる場合は、無料のデスクトップアプリ『The Photographer’s Ephemeris』が便利です。
まとめ
普段あまりじっくり見たことのない月でも、自分で撮影した月がクレーターまではっきり写ってると神秘的で意外と感動するものです。
月は晴れていれば大抵は見る事が出来きて、あまり場所を選ばず撮影できるので、望遠ズームレンズを持ってるけどあまり使っていないという方は、月を撮影してみてはいかがでしょうか?