慣れない星空撮影で一番の難関が星へのピント合わせです。真っ暗な環境ではオートフォーカスが作動しない為、マニュアルでピントを合わせる必要があります。ただ、コツを掴んでしまえば1分足らずでしっかりと星へピントが合わせられるようになるので、是非マスターしたいものです。
今回は星空撮影で必須スキルの星へのピント合わせ方法を詳しく解説します。
ピント合わせの準備
あると便利な物
ヘッドライト
暗闇でカメラの設定をするので両手が使える小さ目のヘッドライトが便利です。星空撮影以外にも非常用の防災グッズとしてヘッドライトを一つ持っていると良いかもしれません。赤色灯付きがあると星景撮影では重宝します。
テープ
ピントリングやズームリングを固定する為のテープです。おすすめは少し幅広の白いパーマセルテープやマスキングテープですが、セロハンテープでも大丈夫です。色はレンズの色と同化しない黒以外の方が星景撮影では見やすいです。また、剥がした後にべた付かないものを選ぶのがポイントです。
カモ井加工紙のマスキングテープブランド「mt」シリーズは、カメラマンや映像クリエイターなどプロユース向けのマスキングテープとして開発・販売されているのでおすすめです。
カメラのレンズ設定はマニュアルにする
星にピントを合わせる時は、マニュアルフォーカスが基本となるので、レンズとカメラ本体をマニュアルに設定します。
レンズがオートフォーカス機能付きの場合は、レンズのAF(オートフォーカス)をM(マニュアル)に切り替えて、更に手ぶれ補正もオフにします。三脚使用時に手ぶれ補正がオンになっていると誤作動でブレることがあるので忘れずにオフにしておきましょう。
カメラ本体側のレンズのAF(オートフォーカス)もM(マニュアル)に切り替えます。
シャッタースピードやISOなどその他のカメラ設定は以下の記事でご確認ください。


レンズをマニュアルに切り替え、手ぶれ機能をオフ、カメラ本体もMにする
星にピントを合わせる手順
街灯、明るい星、月を探す
まずは肉眼で見える、街灯や民家の灯りを探します。遥かかなたの星にピントを合わせないとピンボケしてしまうと思われがちですが、実は街頭や家の灯りなどにピントを合わせても全く問題ありません。街灯や民家の灯りの方がピント合わせが簡単なのでおすすめです。
大自然の中で人工的な光が無い場合は、明るい星または月でOKです。
以下の例だと、光害の影響で星が見え難いので50mほど離れた塔の灯りや街灯りにピントを合わせるのが簡単です。もちろん星にピントを合わせても大丈夫です。

星空撮影のピントを合わせる対象物は建物の灯りでも問題なし
レンズの過焦点距離を把握しておけば、どの距離でピント合わせをすれば星にもピントが合うのか判断できます。パンフォーカスに関しては以下の記事で詳しく説明しています。

ライブビューに切り替える
一眼レフカメラの場合
一眼レフカメラの場合は、光学ファインダーなのでファインダーを覗いても真っ暗で何も見えないので、ライブビューに切り替えて液晶画面を見ながらピントを合わせます。
ミラーレス一眼カメラの場合
ミラーレス一眼カメラの場合は、液晶画面にするか、もしくは電子ビューファインダーなので、ファインダーを覗いて星にピント合わせすることも可能です。微調整する場合は、ファインダーを覗いた方がやりやすいかもしれません。
ニコンの一眼レフカメラのD750のライブビューモード切替
最大まで拡大表示する
ピント合わせをする対象物にフォーカスポイントが合うように十字キー(マルチセレクター)を動かし、拡大(+)ボタンを押して最大まで拡大します。

ニコンD750のライブビューモードでピントを合わせたい対象物を拡大表示する
対象物が最もシャープになるようにピントリングを微調整
ピント合わせの対象物が一番シャープになるまでピントリングを微調整します。街頭や家の灯りなどはピントが合ってるかどうか分かり易いと思います。
星の場合は少し分かりにくいのですが、星が最も小さくなる所がピントが合っている状態です。

星にピントが合ってない状態:最大に拡大しても大きな丸になっている

星にピントが合った状態:星が小さくシャープに見える
遠い被写体を写す場合、大抵のレンズは無限遠(∞)近くでピントが合うので、最初にレンズのピントを無限遠にしておけば、ピントリングをそれほど回さなくても良いので星へのピント合わせが簡単です。

予め無限遠∞に合わせておくと、ピント合わせが楽になる
ピントリングをテープで固定する
せっかく合わせたピントがズレないようにテープで固定しておくと良いでしょう。また、ズームレンズを使う場合はズームリングもテープで固定すると失敗が防げます。
構図を変える時など、うっかりピントリングに触れて動いてしまうことが良くあります。ピントがズレているのに気づかず、そのまま撮影していると悲劇です!

ピントリングをテープで固定しておけばズレの予防になる
試し撮りしてピントが合ってるか必ず確認
準備が出来たら、試し撮りをして星にピントが合っているか液晶モニターで拡大表示して確認しましょう。
星にピントが合ってないと、星が全体的に丸くシャープ感がありません。この状態は星がピンボケしている証拠です。

星にピントが合ってない失敗例:全体的に星が丸くシャープではない
一方、星にピントが合った状態の場合は、全体的に丸みが少なく尖った部分がありシャープになります。これは、レンズの歪みから生じるのコマ収差と言わるものです。また、シャッタースピードが長くなってしまうと、星は動いているので若干楕円状に伸びた感じになります。

星にピントが合っている例:全体的に尖った部分がありシャープになる
試し撮りしてみて星にピントが合ってないようなら、あせらず落ち着いてピントが合うまで頑張りましょう!
コツを掴むまで練習するのが一番
星が見れる場所なら自宅や公園でも星空のピント合わせの練習はできるので、実際に行く前に何度か練習をしておくと良いと思います。
暗闇の撮影現場ではカメラの小さなモニターでしか確認が出来ない為、星にしっかりとピントが合っていると思い込んで撮影をし続け、家に帰ってパソコンで見たら全部ピンボケ!なんていう事は避けなければなりません。
どんなに良い構図でもピンボケでは貴重な星空・天の川撮影が台無しになってしまいます。星のピント合わせは確実にマスターして、現地では慌てずじっくりとピントを合わると失敗がなくなります。