今更ながらソニーα7RⅣのピクセルシフトマルチ撮影を試してみました。α7RⅣは通常約6100万画素もあるのですが、ピクセルシフトマルチ撮影の16枚を合成する機能は2億4080万画素の画像にしてしまうと言う驚きの機能です。縦横比で2倍、面積は4倍の大きさになり、Photoshopの画像を大きくする機能のスーパー解像度と同じサイズになります。
今回は、α7RⅣのピクセルシフトマルチ撮影で合成した写真を通常の一枚撮りやPhotoshopのスーパー解像度の画質を比較してみたので、参考にして頂ければと思います。
ソニーのピクセルシフトマルチ撮影とは?
ソニーαシリーズのピクセルシフトマルチ撮影とは、α7RIIIから追加された機能の一つでイメージセンサーを1画素分ずつずらして、4枚または16枚のRAW画像を撮影し、通常の一枚撮りでは実現できない高解像の1枚の画像として合成することが可能になる機能です。
通常の一枚撮りの場合、画素ごとにRGBのうち1色分の色情報を取得し、残りの2色分は補間処理しているのに対し、ピクセルシフトマルチ撮影の場合は、すべての画素でRGBの全色の情報を取得し、補間処理をせずに直接合成して画像を生成するというのが特徴です。簡単に言うと、細かな部分もより正確な色で高解像な写真に仕上げる機能です。
α7RⅣのピクセルシフトマルチ撮影には2通りあり、4枚を合成する場合は仕上がりサイズは9,504 x 6,336ピクセルで通常の画素数と同じですが、16枚を合成する場合は縦横比が2倍の19,008 x 12,672ピクセルで2億4080万画素の巨大な画像となり、ただ単に高画素になるだけでなく、正確な色で解像感のある画像に仕上がると言うことです。
もっと詳しい仕組みを知りたい方はソニーの公式ページをご覧ください。
https://www.sony.jp/ichigan/products/ILCE-7RM4/feature_1.html
ピクセルシフトマルチ撮影の注意点
ピクセルシフトマルチ撮影では1画素分ずつずらす非常に繊細な撮影なので、基本的には動きのない被写体を室内で撮影するのが適しています。風景写真の場合、風が弱くても草木は微妙に揺れるのであまり向いていない被写体となります。星景写真も星が微妙に動いていて、シャッタースピードが長いので失敗する可能性が高くなります。
また被写体の動きだけでなく、僅かな光の違いでも上手く合成できない場合があるので、光の当たり方にも注意が必要です。
もちろんピクセルシフトマルチ撮影ではカメラがブレないようにする事が最も重要で、三脚でしっかり固定しシャッターは無線リモコンなどを使う必要があり、手持ち撮影はNGです。
ソニーα用の無線リモコンならBluetoothのRMT-P1BTがおすすめです。
リーズナブルな赤外線式のリモコンでもピクセルシフトマルチ撮影は可能です。
ソニー純正の現像ソフトで合成する
ピクセルシフトマルチ撮影で撮影した画像を合成するには、ソニー純正の無料ソフトImaging Edge Desktopが必要になります。Photoshop等のサードパーティ製の写真編集ソフトでは合成することはできません。
ピクセルシフトマルチ撮影の手順
ピクセルシフトマルチ撮影の手順はいたって簡単です!
カメラを設定して撮影
まずは、カメラ本体のメニューから【ピクセルシフトマルチ撮影】を選択します。
【MENU】 > 【撮影設定1】 > 【ピクセルシフトマルチ撮影】
4枚もしくは16枚のどちらかを選びます。間隔の設定は【最短】がおすすめです。1、2、3、4、5、10秒なども選べますが、被写体ブレや、自然光で撮影する場合は光の当たり具合が変わらないうちに撮影間隔を最短にすることで失敗をできるだけ回避することができます。
あとは、三脚にカメラを固定して撮影するだけです。直接シャッターボタンを押すとブレの原因になるので、無線リモコンを使うようにしましょう。
一度シャッターを押せば、設定した枚数分を連続撮影し自動的に停止するようになっているので、自分で枚数を数えるなどの手間要らずで非常に簡単です。
Imaging Edgeで合成
ピクセルシフトマルチ撮影が終わったら、写真データの入ったSDカードをPCに挿入し、ソニー純正の無料ソフトImaging Edge Viewerを起動させます。
ピクセルシフトマルチ撮影した画像を1枚選択した状態で
上部メニュー > ファイル > ピクセルシフトマルチ撮影 画像の合成(1枚生成)
を選びます。

Imaging Edge Viewerを起動し一枚を選択
小ウィンドウが表示されるので、保存形式や保存先を指定し、【保存】をクリックすると連続撮影した4枚もしくは16枚が自動認識され、合成が開始されます。保存形式はRAWデータのARQ形式の他に、JPGとTIFFでも保存可能です。

Imaging Edge Viewerで保存設定をする
合成処理が終わったら、Imaging Edge EditでARQ形式のRAWデータを開けば、【ピクセルシフトマルチ撮影 補正】という項目でエッジ周辺のノイズ補正の微調整をすることができますが、特に問題なければ補正しなくてもOKです。ブレを補正できる場合もあるようですが、それ程効果が期待できないので、撮影時のブレ対策は必須となります。

Imaging Edge Editで微調整も可能
α7RⅣのピクセルシフトマルチ撮影の作例
α7RⅣのピクセルシフトマルチ撮影の作例として、木の板を俯瞰撮影してみました。

ネット上で閲覧するサイズだと違いは判らないほどの微妙な差となります
一枚撮りとピクセルシフトマルチ撮影4枚合成の比較
一枚撮りとピクセルシフトマルチ撮影の4枚合成の場合を、等倍サイズに拡大して比べると、僅かですがピクセルシフトマルチ撮影で合成した画像の方が細部の色調がきめ細かなのが確認でき、ディテールの再現性がより高くなっています。


ピクセルシフトマルチ撮影16枚合成とPhotoshopスーパー解像度の比較
次にピクセルシフトマルチ撮影の16枚合成した画像と一枚撮りした画像をPhotoshopのスーパー解像度で拡大した画像の画質の比較です。どちらも19,008 x 12,672ピクセルで2億4080万画素の巨大な画像です。
ピクセルシフトマルチ撮影の16枚合成した画像の方が細部の色調が滑らかで自然なのに対して、Photoshopのスーパー解像度で拡大した画像は細部の色調が荒く若干ジャギーっぽさ(ピクセルのドット感)が出てしまっています。


ただし、このレベルの画質の差であれば、そこそこ綺麗に撮れている写真に適用できるPhotoshopのスーパー解像度の方がお手軽で良い気がします。
ファイルサイズに関してですが、今回の例の場合、合成後のARQ形式のRAWファイルが1.82GB、Photoshopのスーパー解像度のDNGファイルが736MBで2倍以上の差があります。それだけピクセルシフトマルチ撮影の画像の方が、色情報が豊富ということになります。
ピクセルシフトマルチ撮影の失敗例
以下は野外で撮影した被写体の一部が風で微妙に揺れて綺麗に合成できずに格子状になったピクセルシフトマルチ撮影の失敗例です。合成時の補正を最大にしても修復することはできませんでした。
他社のカメラにもピクセルシフトマルチ撮影と似たような機能があり、多少のブレでも補正してくれるようですが、現状のソニーのピクセルシフトマルチ撮影では、被写体の微妙なブレも厳しいといった印象です。

ピクセルシフトマルチ撮影の失敗例:風で被写体が揺れた
今後は、微妙なブレも補正してくれるようにピクセルシフトマルチ撮影がバージョンアップされるとより実用的になるかと思います。
まとめ
ソニーα7RⅣのピクセルシフトマルチ撮影の機能は、確かに色調豊かな解像感の高い画像になることは間違いないようですが、撮影できる被写体やシチュエーションに限りがあるので、実用レベルで使う人はかなり限定されるのではないかと思います。
ただ、アマチュアカメラマンであっても、ピクセルシフトマルチ撮影を試してみると結構面白いと思います。特にマクロレンズを使って撮影すると、普段見ることのできない超拡大された世界の新たな発見があるかもしれません。