意外と明暗差のある夜景写真は、一枚撮りよりも露出ブラケット撮影して複数枚の写真をHDR合成すると現像しやすく、思い通りの夜景写真に仕上げることができます。
今回は、夜景撮影してもいつも平凡で肉眼で見た時のような感動的な仕上がりにならないと悩む方の為に、幻想的なHDR夜景に仕上げる撮影方法とLightroomやPhotoshopを使った現像テクニックをご紹介します。
HDR夜景撮影に必要な道具
基本的にはHDRの夜景に仕上げる場合も、通常の夜景撮影と同じ道具で問題ありません。HDR用の夜景撮影は複数枚同じ構図で撮影し、シャッタースピードが長くなりがちなので、三脚は必須となります。
- 一眼カメラ
- 三脚
- ヘッドライトやライト(あれば便利)
- レリーズ(なければ2秒タイマーでもOK)
夜景をHDRに仕上げる為のカメラ設定
夜景は意外と明暗差があり、1枚撮りで撮ると白飛びや黒つぶれしやすくなるので、露出オートブラケット機能を使って露出違いで3枚から5枚程度撮って、現像時にHDR合成すると幻想的な夜景に仕上がります。
露出オートブラケットで撮影する
露出オートブラケットの設定は、1段違いで3枚~5枚位がおすすめです。夜景の場合、0.3や0.7段だと明暗差が少ないので1段に設定すると失敗が少なくなります。
例えば、1段違いで5枚の設定をした場合は、-2EV、-1EV、0EV、+1EV、+2EVの露出の写真が撮影されます。
基本的に被写体の明暗差が大きいほど、それぞれの差を大きく設定しますが、夜景の場合は少し余裕をもって多めに撮影しておくと失敗しにくくなります。
露出オートブラケット撮影の詳しい方法は、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
カメラの設定
HDRで仕上げる為のカメラ設定は、基本的には通常の夜景を撮る時の設定と同様に、絞り優先モードで絞りをf8前後にします。RAWで撮影するので、ホワイトバランスはオートにしておき、現像時に変更すればOKです。
- 撮影モード:A(絞り優先)モード
- F値(絞り):f8前後
- ISO感度:100~
- ホワイトバランス:AUTO
ISOの設定は、基本的に100でOKですが、露出オートブラケットにすると明るい露出で撮影する際にシャッタースピードが遅くなる為、30秒以内のシャッタースピードに収まるようにISOを上げる必要があります。一般的な一眼カメラは30秒よりも長いシャッタースピードはバルブ撮影になり、露出オートブラケットで撮影する場合、シャッタースピードは上限が30秒となります。
例えば、1段違いで5枚の露出オートブラケットで設定した場合、基準となる0EVのシャッタースピードが8秒だと、2段分シャッタースピードが遅くなると32秒の計算になりますが、実際撮影すると、シャッタースピードは30秒になります。
この程度であれば、殆ど影響はありませんが、できれば、1段違いで5枚の露出オートブラケットなら、基準となる0EVのシャッタースピードは7秒以内が理想となります。
できれば、基準となる0EVのシャッタースピードを確認して、30秒以内のシャッタースピードになるようにISOを変更するのがベストです。ただし、面倒であれば、最初からノイズが目立たない程度の少し高めのISOに設定しておくと簡単です。
基本的な夜景撮影方法は以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
段の計算方法は以下の記事でご確認ください。
Lightroomを使ったHDRの現像方法
LightroomのHDR合成機能は露出違いの写真を自然な感じに合成する機能で、合成後は通常の写真のように自由にレタッチして仕上げます。
露出違いの写真をHDR合成
Lightroomを起動したら、Ctrlボタンを押しながら合成する複数枚の写真を選択し、右クリックして
写真を結合 > HDR を選択します。
HDR合成の設定画面が表示されるので、各種設定をします。
自動整列
自動整列は、写真の位置を自動で調整してくれる機能で、基本的に三脚を使用して撮影した場合はチェックを外したままで大丈夫です。風が強くて微妙に位置がズレているような場合は、チェックを入れておくと良いと思います。
自動設定
自動設定は、HDR合成後の明るさやコントラストなどを自動で調整してくれます。合成後でも通常の写真と同じように、自分で自由に調整することも可能なので、チェックは入れておいても問題ありません。
ゴースト除去
ゴースト除去は、動いている被写体が半透明になってしまうのを防ぐための機能で、必要に応じて【なし、弱、中、強】を選択します。風で揺れる草木、枝、雲などが該当します。
以上の設定が完了したら、結合ボタンをクリックします。結合が終わると『〇〇〇〇〇-hdr.dng』と言うようなDNGファイルが生成されます。
LightroomのHDR現像テクニック
一般的な風景写真は比較的コントラストを強めにする場合が多いのですが、夜景をHDRっぽく仕上げるコツは、コントラストを抑え気味に調整します。そうすることで、夜景の灯りがふんわりと柔らかい雰囲気に仕上がります。
全体のディテールを浮き上がらせる設定
暗部が見えるようにしたいので、ハイライト:-100、シャドウ:+100に補正します。また、夜景の灯りの明部のディテールも残したいので、白レベルをマイナス側に調整します。
コントラストを抑える設定
HDR夜景の現像では、通常よりもコントラストを抑え気味にしたいので、明瞭度をマイナス補正します。マイナス側にスライダーを動かすと、ふんわりと柔らかい雰囲気になるので、好みに合わせて微調整してみてください。
最後の仕上げにPhotohsopでオートン効果
HDR夜景をさらに幻想的な雰囲気に仕上げたい場合は、Photoshopを使ってオートン効果を施すのがおすすめです。オートン効果はコントラストがありながらもふわっとした雰囲気に仕上がるので、HDR夜景との相性もばっちりです。
Photoshopでオートン効果を施す方法は以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
結果
露出ブラケットで撮影した複数枚の画像をHDR合成し、LightroomとPhotoshopを使って現像した結果が以下になります。最後のひと手間でオートン効果を施すことで、幻想的な雰囲気が更に増したHDR夜景に仕上がります。
まとめ
意外と明暗差のある夜景撮影では一枚撮りだと白飛びや黒つぶれを起こしやすく、現像時に上手く仕上がらない場合もあるので、露出ブラケット撮影をしてHDR合成すると失敗が少なくおすすめです。