せっかく天の川の写真をRAW撮影したのにLightroomで現像しても思ったように上手くレタッチできないという方は意外と多いと思います。今回はLightroomを使った天の川のRAW現像方法と劇的に変わる最後の一手間二手間のテクニックを紹介します。
更に、この天の川の現像設定をLightroomのプリセットにして無料配布しますので、是非ダウンロードしてお使いください!
天の川を撮影したRAWファイルが重要
天の川を撮影したRAWファイルでも出来るだけ白飛び・黒潰れしていない写真のほうが、レタッチした時に最大限に活かす事が出来ます。jpgファイルだと色情報が少ない為、Lightroomを使っても現像に限界があり、綺麗な天の川にすることが難しいので、RAW現像が基本となります。
今回、現像に使用するRAWファイルは、ヒストグラムを見るとほぼ白飛びや黒潰れがない状態であることが分かります。
カメラ:Nikon D750、レンズ:Samyang 14mm F2.8、シャッタースピード25秒、ISO6400、絞りf2.8

現像前の天の川のRAWファイル
星空や天の川撮影以外にもヒストグラムは重要なので、是非ヒストグラムの正しい見方をマスターしておきましょう。

Lightroomを使った天の川の現像方法
まずはLightroomで現像したい画像を選びます。右上にあるヒストグラムパネルの左右の矢印をクリックすると、白飛びと黒潰れ部分がハイライトされます。現像作業中はヒストグラムを見ながら白飛びや黒潰れに注意して補正していくのがコツです。
ホワイトバランスで全体の色温度を調整
「ホワイトバランス」で写真全体の色を調整します。星景写真の場合、ホワイトバランスは基本的には色かぶりのないニュートラルな状態にするのがベストでヒストグラムを見ながら色温度を調整します。
今回のサンプル写真は補正前だと赤っぽい状態で、ヒストグラムを見ると赤と緑色がグレーの山からはみ出ているのが確認できるかと思いますが、これが色かぶりしている状態です。

ヒストグラムをみると赤と緑の色被りが確認できる
この赤っぽい色かぶりは、赤が強いので色温度を青の方へ調整することでニュートラルの状態に補正する事ができます。補正後のヒストグラムを見ると、グレーの山から色がはみ出していないのが確認できます。

色温度で青色側に補正するとニュートラルになる
私は少し青っぽい星空が好きなので色温度を3500~4500位にし、「色かぶり補正」を+5~15位にすることが多いです。「色かぶり補正」はプラス(ピンク側)にすると紫がかった色合いになりますので好みで調整します。レンズや撮影環境によって、ニュートラルの色温度に違いがあるので、ヒストグラムを見て調整してください。
色温度を変えるだけで星空っぽい見た目に大きく変化しました。星空の色は人によって好みが違うので、自分で実際に見た色や好みの色に調整すると良いと思います。
レンズ補正で歪みと周辺光量を修正
Lightroomの「レンズ補正」は、個々のレンズの特性に合わせて歪みや周辺光量調整などの補正を自動で行ってくれるので非常に便利です。ただし、ノイズが増えたりする場合もあるので、状態を見ながら適用するか、もしくは手動で補正するのが良いと思います。
今回は、歪みのあるSamyang 14mm F2.8のレンズだったため、「プロファイル補正を使用」を適用した結果、地平線の歪みがほぼ無くなり、四隅の周辺光量も明るくなりました。
階調を整える
露光量とコントラスト
空の色を暗めにしたいので「露光量」はそのままにしておきます。
天の川を強調させる為、「コントラスト」を少し強めにして5~20位にします。コントラストを強めすぎると星空全体が少し暗くなるので状態をみながら微調整します。
ハイライト、シャドウ、白レベルと黒レベル
天の川の明るいハイライト部分を抑えることでディテールが見えるようになるので、「ハイライト」はマイナス補正します。今回は-70にしました。
逆に暗い部分を明るくするには、「シャドウ」をプラスに補正します。星景写真で景色部分が暗い場合は多めに補正をかける場合が多いのですが、ノイズが増えるというデメリットがあるので、ノイズ量を確認しながら微調整します。今回は景色部分の前景が暗いので「シャドウ」を+60にしました。
「白レベル」と「黒レベル」で全体の明るさを補正します。白レベルを上げ過ぎると白飛びしてしまうのでヒストグラムを見ながら調整します。
明瞭度とかすみの除去、彩度
「明瞭度」をプラスへ補正するとエッジがシャープになり天の川をより際立たせてくれますが、ノイズも目立つようになります。「明瞭度」は+50~80位で、少し強めにしても星空部分のノイズはあまり気になりませんが、風景部分のノイズが気になる場合はもう少し弱めに調整するのが良いかもしれません。
「かすみの除去」は、白っぽいかすみを軽減してクリアになりますが、青味が増し、コントラストが強くなりすぎるので+5~10位で十分です。場合によっては「かすみの除去」補正無しでも問題ありません。
「自然な彩度」と「彩度」は、星空や天の川の場合、あまり彩度を強くすると不自然な仕上がりになるので少しプラスに補正する程度で大丈夫です。
明暗別色補正と輝度調整
天の川に立体感を出すためのテクニックです。「明暗別色補正」でハイライト部分に彩度の低い薄いオレンジ色を足し、シャドウ部分に彩度の低いグレーに近い青色を足します。明暗差に少し色が加わり、ハイライト部分が多い天の川が少し派手になり、それ以外の暗い部分はより青っぽくなります。
「輝度」のブルーとアクアをプラスに補正して明るくすることで、星の周辺にある不自然な青いエッジ(青ハロ)が目立たなくなります。星の周りのエッジが濃くなるフリンジの原因は、コントラストや明瞭度を強めに補正すると発生します。拡大しないとそれほど目立ちませんが…。
天の川の中心部を補正ブラシツールで強調
「補正ブラシツール」はピンポイントで補正する為のLightroomの超便利機能です。もう少しインパクトのある天の川にしたいので、「補正ブラシツール」を使って天の川の中心部分だけを強調します。ただし、やりすぎると不自然になるので注意が必要です。
補正ブラシの使い方のポイントは、境目を滑らかにして自然な仕上がりにしたいので、ブラシのぼかしを多めにし、流量は半分くらいで塗りつぶしていきす。
不自然にならない程度に「カラー」に薄いオレンジ色を加え、「白レベル」と「黒レベル」、「明瞭度」で天の川の中心部分のコントラストを強調します。
最後にトーンカーブでコントラストを微調整
最後の仕上げとして、全体的に少しシャープさを出したいので、トーンカーブを緩やかなS字にしてコントラストを強めます。画像によってカーブさせる位置が変わるので、状態を見ながら微調整すれば完了です。
Lightroomの現像前と現像後の比較
未加工のRAWファイルでは非常に地味な天の川写真ですが、Lightroomを使って現像処理をすることで激変させることができます。さらに最後の一手間二手間のテクニックを使えば、天の川が際立ち魅力的な星空写真に仕上がります。ただし、強調しすぎると不自然な仕上がりになってしまうので、あくまで自然な感じで天の川を映えさせることが重要です。


天の川のLightroom現像プリセットを無料配布!
今回の天の川のLightroomの現像設定をプリセットにしたものを無料配布するので自由にダウンロードしてお使いください!
全部で4種類の天の川用現像プリセットを用意しました。
- コントラスト強めの青(今回解説したバージョン)
- コントラスト弱めの青
- コントラスト強めの赤銅
- コントラスト弱めの赤銅









※Lightroom Classic CC 7.3以降で使用可能です。
動画で見る
Lightroomを使った星景写真のRAW現像テクニックを動画にてYouTubeにアップしました。