星空や天の川写真で星を目立たせる為にソフトフィルターを使って撮影すると、星景写真の場合、風景もぼんやりしてしまいピンボケの残念な仕上がりになってしまいます。星だけを強調して風景はシャープな写真が理想なのですが、それを実現してくれるのがPhotoshopです。
今回は、Photoshopを使ってソフトフィルター風に星だけをにじませて強調しするレタッチ方法をご紹介します。星空や天の川写真をワンランク上のクオリティに仕上げるRAW現像テクニックの一つです。
星をにじませるソフトフィルターとは?
ソフトフィルターを星空撮影に使う事で星をにじませて強調することができ全体的にソフトな雰囲気に仕上がります。ただし、風景が含まれる星景の場合は、星以外はシャープさが無くピンボケのようにぼんやりしてしまう為、どちらかと言うと星空のみの天体撮影向きと言えます。
最近ケンコーから発売された、星空部分だけフィルターで、景色部分はそのままと言う角型ハーフソフトフィルターと言うものがあるのですが、稜線が平らな星景なら使えそうですが、実際は山があったり稜線が不規則な場合が多いので、使える場所が限られてくるのではないかと思います。
Photoshopのソフトフィルター風の加工方法
わざわざフォルトフィルターを付けて撮影しなくても、Photoshopを使えば比較的簡単に星をにじませ強調したソフトな雰囲気の星空写真に仕上げることができます。
Photoshopでソフトフィルター風にレタッチするメリットは、風景はそのままで星だけを強調することができ、自由に効果の強弱をコントロールできる点です。もちろん、星景だけでなく星空や天の川だけの天体写真にも有効な加工方法です。
星空用レイヤーの準備
背景レイヤーをコピー
Photoshopで加工したい画像を開き、背景をコピーし星空用レイヤーを準備します。
2階調化で白黒に
次に、イメージ > 色調補正 > 2階調化で白黒の画像にし、▲を右にスライドさせ数値を240~245位にします。
不要部分をブラシで塗りつぶす
そうすると明るい部分だけが残り他は真っ黒な状態になるので、星以外の不要な景色部分はブラシツールで黒く塗りつぶします。
星をにじませる
明るい星だけになったレイヤーにPhotoshopのフィルター効果で星をにじませます。
フィルターのぼかし(レンズ)
フィルター > ぼかし > ぼかし(レンズ)
【虹彩絞り】形状:八角形、半径:20前後、絞り円形度:100、回転:0
【スペキュラハイライト】明るさ:20前後、しきい値:0
プレビューを見ながら、虹彩絞りの半径の大きさやスペキュラハイライトの明るさを調整します。数値が大きいほどにじみが大きくなります。
強調した星レイヤーの微調整
描画モードをスクリーンに
にじませた星レイヤーの描画モードを『スクリーン』にすると、強調した星が元レイヤーに馴染んだ状態で表示されます。この時点である程度の効果が確認できます。
レベル補正
次に、星の強弱を微調整します。
イメージ > 色調補正 > レベル補正で、一番右の▲スライダー(ハイライト)を左へ150前後まで移動し、真ん中の▲スライダー(中間調)で微調整します。中間調を左へ動かすと星が強調され、右へ動かすと弱まりますので、プレビューを見ながら自分の好みで調整します。
星レイヤーを自然に仕上げる
最後に強調した星がより自然に仕上がるようにエッジをぼかします。
フィルターのぼかし(ガウス)
フィルター > ぼかし > ぼかし(ガウス)
半径:3~6ピクセルで、プレビューで確認しながら調整します。
※ぼかし具合が分かり易いように元画像のレイヤーを非表示にして、星レイヤーだけを表示させていますが、レイヤーをそのままの状態でぼかしフィルターをかけても問題ありません。
レイヤーの不透明度
最後にレイヤーの不透明度で強弱を微調整すれば自然な仕上がりになり完成です!
星空ソフトフィルター風の加工前と加工後の比較です。
Photoshopがあればソフトフィルター要らず!
今回ご紹介した星を強調するPhotoshopの加工方法は、星景だけでなく、星空や天の川だけの天体写真にも使える便利なレタッチテクニックです。Photoshopなら用途に応じて効果の強弱をコントロールできるので実際のソフトフィルターよりも柔軟に対応できます。
星空に限らず、ソフトフィルターを装着して撮影してしまった画像は現像時にシャープにすることが不可能なので、ソフトフィルターのメリットをあまり感じません。むしろソフトフィルターを使わないで撮影したシャープな写真を、Photoshopでソフトな雰囲気にレタッチした方が断然メリットが多いと思います。
動画で見る
YouTubeにPhotoshopを使用した星にじませレタッチ方法の動画をアップしました。