写真の一部が動くシネマグラフをSNSなどで見たことはありませんか? 不思議な雰囲気を醸し出すシネマグラフを作るには、写真がなくても動画さえあれば、Photoshopを使って比較的簡単に作ることができます。
今回は、思わず見入って病みつきになってしまうシネマグラフをPhotoshopを使って動画から作る方法をサンプルと共に解説します。
過去記事:写真からシネマグラフが作れるソフトウェア
シネマグラフとは?
シネマグラフ(Cinemagraph)とは、写真の一部が動いたり、繰り返し動き続けるGIFアニメーションもしくは動画の事を言います。シネマグラフは、一見すると普通の写真のようですが、じっくり見ると写真の一部だけが動いていて、非現実的な雰囲気が特徴で、動く写真とも言われたりします。
シネマグラフを上手く作るコツ
ループさせやすい動画素材
Photoshopでシネマグラフを作る上で最も重要なのが固定したアングルで一定の動きをする動画素材です。基本的にシネマグラフは1~2秒程度をループさせるので、素材となる動画の長さは10秒程度あれば十分です。
また、複数の個所に動きがある動画素材もシネマグラフに向いています。動きのあるはずの個所が静止し、一部分だけが動き続けるようにすると、非現実的で独特な雰囲気に仕上がります。ただし、複数の動きが同じ場所に重なってしまうと、加工処理が難しくなるので、単独で動いている動画が適しています。
例えば、
- 水系(飲み物、海、川、噴水なお)
- 湯気・煙
- 炎
- 人(瞬き、風で揺らぐ髪など)
- 動物・ペット
アイデア
シネマグラフは、アイデア次第で強烈なインパクトがあり、SNSでバズる可能性も十分にあります。アイデアのキーワードとしては、「エンドレス」と「非現実」で、いかに異次元な世界をシネマグラフで表現できるかが重要です。
良くある飲み物系のシネマグラフの例では、エンドレスに注がれ続けても絶対に溢れないという非現実な世界が表現できます。
Photoshopを使ったシネマグラフの作り方
Photoshopを使ってシネマグラフを作る場合、必要なのは動画だけです。写真がなくても動画から簡単にシネマグラフを作ることができます。
まずは、Photoshopで動画ファイルを開きます。
動画ファイルを開くと、画面の下部にタイムラインパネルが表示されます。もし、タイムラインパネルが表示されていない場合は、上部メニューの ウィンドウ > タイムライン を選択すれば表示されます。
静止画を作る
シネマグラフには静止画が必要なので、動画から静止画を抽出します。
①動画レイヤーを複製します。
②「時間インジケーター」を左右にドラッグして静止画にする場所を探します。静止画の場所が決まったら、時間インジケーターを止めます。
③複製したレイヤーを静止画に変換する為にラスタライズします。
画面右側のレイヤーウィンドウで、複製したレイヤー上で右クリックし、【レイヤーをラスタライズ】を選択すると、動画だったレイヤーが、画像に変換されます。
※下の動画レイヤーは、上の画像レイヤーで隠れている状態。
静止画にマスクを施す
シネマグラフは画像の一部だけを動画にするので、静止画にした画像にマスク処理を施し、動かしたい部分だけを表示させます。
Photoshopのマスクのかけ方は色々ありますが、今回はクイックマスクモードを使って説明します。
①クイックマスクモードに切り替えます。
②動画として表示させたい部分だけをブラシツールで塗りつぶしていきます。動かしたい部分は赤くなるので直感的でわかりやすいかと思います。
③「画像描画モードで編集」に切り替えると、先ほど塗りつぶした部分以外が選択された状態になる。
④「レイヤーマスクを追加」をクリックするとマスクが完成します。静止画のレイヤーにマスクが施され、動画の一部だけが見える状態になりました。
時間インジケーターを動かすとマスクされているのが確認できますので、もしマスク処理が上手くできていない場合は、マスク部分をブラシツールを使い微調整します。
動画の長さを調整
GIFアニメーションでループさせたい場合は、フレーム数が多いとファイルサイズが大きくなるのでループさせたい部分を1、2秒程度の長さに調整します。動画にしたい場合はもう少し長くても大丈夫ですがファイルサイズが大きくなりすぎないようにします。
動画の長さを調整するには、ワークエリアの【開始】と【終了】のつまみを左右に動かします。
GIFアニメーションのループを違和感なく繋ぎ合わせるポイントは、【開始】と【終了】部分が似たようなフレームになっているどうかです。こまめにプレビューで再生して、ループの繋ぎめが滑らかになるように【開始】と【終了】のフレーム位置を微調整します。
用途に合わせてサイズを調整
シネマグラフを書き出す前に、投稿するSNSに合わせて、トリミングしたり解像度を変更し大きさを調整します。GIFアニメーションにする場合は、必要以上に大きい解像度(ピクセルサイズ)にしてしまうと、ファイル容量が予想以上に大きくなってしまうので気を付ける必要があります。
Twitterの場合は、GIFアニメーションでも動画でも、どちらでも大丈夫です。GIFアニメーションのほうが書き出しも簡単でファイルサイズも軽いのでおすすめです。
インスタグラム
インスタグラムの場合、GIFアニメーションを投稿することができないので、シネマグラフをmp4の動画ファイルに書き出す必要があります。インスタグラムに投稿された動画は、自動でループ再生されるので、短い動画でもGIFアニメーションのように表示されます。
インスタグラムに投稿する動画サイズは、正方形か縦長がおすすめです。横長も可能ですが、小さく表示さあれるのでシネマグラフの動きが認識されにくく、インパクトが弱くなってしまいます。
- 正方形「1:1」=1080×1080ピクセル
- 縦長「4:5」=1080×1350ピクセル
Facebookの場合は、GIFアニメーションを投稿してもアニメーションが動かず、ただのGIF画像になってしまいます。その為、Facebookにシネマグラフを投稿する場合は、mp4の動画ファイルに書き出してからアップロードする必要があります。
Facebookの場合は縦横比率の制限は特にありませんが、最大解像度はHD(1080)なので、それ以下のサイズで書き出してファイル容量を抑えるようにするのがポイントです。
最後に書き出し
GIFアニメーションに書き出し
適正な画像サイズに変更したら、上部メニューの
ファイル > 書き出し > WEB用に保存
【GIF】を選び、ファイル容量が大きくなり過ぎないように色数などを調整します。その時画面の左下にファイル容量が表示されるので、確認しながら微調整します。色数を少なくしすぎると、綺麗に表示されず、特にグラデーションがトーンジャンプする場合があります。
アニメーションのループオプションを【無限】にしてから保存します。
動画ファイルに書き出し
適正なサイズ(解像度)に変更したら、上部メニューの
ファイル > 書き出し > ビデオをレンダリング
出力先(保存先)に、書き出し時のファイル名と保存場所を指定し、各種設定していきます。
- 形式:H264
- フレームレート:ドキュメントのフレームレート(30fps以下であればOK)
それ以外の項目はデフォルト(初期設定)のままで問題ないので、あとは「レンダリング」ボタンをクリックするとMP4の動画ファイルとして書き出されます。
シネマグラフのサンプル
今回のチュートリアルで使った砂時計のシネマグラフ。GIFアニメーションでループさせて終わりのないエンドレスな砂時計ができました。
シネマグラフの定番の飲み物系の例。
まとめ
最近はスマホアプリでも比較的簡単にシネマグラフを作ることもできますが、やはりクオリティの高い作品に仕上げるなら、融通の利くPhotoshopを使うのがおすすめです。
シネマグラフの動画素材は室内でも簡単に撮影できるので、色々とチャレンジしてみてはいかがでしょうか?