暗所でも高画質と謳うInsta360 Ace Proの性能は本当なのか、実際に低照度の環境で画質テストをしてみました。今までの一般的なアクションカメラは、暗所で撮影するとノイズだらけのザラザラした低画質な動画になってしまい使い物にならなかったのですが、Insta360 Ace Proはアクションカメラの概念を覆すほどの低ノイズの高画質な動画が撮影可能なのか実例と共にレビューします。
Insta360 Ace Proが暗所でも高画質な理由
Insta360 Ace Proが暗所でもアクションカメラとしては非常に高画質に撮影できる理由は、簡単に言うとセンサーサイズと高性能AIチップによるものです。
1/1.3インチセンサー
Insta360 Ace Proが低照度の暗所でも画質が良い理由の一つは、アクションカメラとしては大き目の1/1.3インチセンサーを搭載しているからです。イメージセンサーが大きいほど多くの光を取り込むことができ、広いダイナミックレンジにより高画質になります。特に暗所ではイメージセンサーのサイズが大きく影響を受け、光が取り込めなくなるとISO感度を上げる為、ザラザラとしたノイズが多い画質になってしまいます。
廉価版のInsta360 Aceは1/2インチセンサー、GoPro Hero 12は1/1.9インチセンサーで、Insta360 Ace Proと比べるとイメージセンサーが小さいので、暗所ではより多くのノイズが発生し画質が低下してしまいます。
高性能AIチップによる画像処理
もう一つの理由として、AIチップによるカメラ内部の画像処理技術の高さによるものです。実はこのAIチップこそが、ライバルとなるGoPro Hero 12やDJI Osmo Action 4などのアクションカメラと大きな差を生んでいる理由になります。
同じ大きさの1/1.3インチセンサーを搭載したDJI Osmo Action 4なら同じ画質じゃないの?と思うかもしれませんが、Insta360 Ace Proの方が高画質なのはAIチップの画像処理に違いがあるからです。
AIチップでどう言った処理をしているかと言うと、ノイズ低減や明るさの向上、ダイナミックレンジの改善を施して、低照度での高画質を実現しています。こういった処理の有無により、画質に大きな差が生まれるのですが、今後は他のアクションカメラも同様の技術を実装する可能性もあり、競争が激化するかもしれません。
現時点ではInsta360 Ace Proが一歩先を行っている印象です。
Insta360 Ace Proの暗所撮影時のカメラ設定
Insta360 Ace Proは低照度環境に特化させたPureVideoモードで撮影することでノイズの少ない高画質な動画を撮影することができます。Insta360 Ace Proであっても通常の動画モードで撮影した場合は、一般的なアクションカメラと同様の高感度ノイズの多いザラザラした画質になってしまうので注意してください。
- 撮影モード:PureVideo
- 低照度手ブレ補正:オン
撮影モードを【PureVideo】に設定します。
露出設定はオートのみで、【低照度手ブレ補正】はオンにします。EV(露出値)とWB(ホワイトバランス)は任意で調整可能ですが、そのままでも特に問題ありません。
※低照度手ブレ補正の設定は一旦電源を切るとオフに戻ってしまう場合があるので、念のため撮影前にオンになっているか確認する必要があります。他の設定は電源を切っても、前回の設定が保持されているのですが、低照度手ブレ補正だけ挙動がおかしい(バグっぽいので、アップデートで改善して欲しい)。
アスペクト比は16:9のみで、解像度は4K、2.7K、1080Pのいずれか、フレームレートは30、25、24から選択可能なので、自分の環境や好みで設定してください。
Insta360 Ace Proの暗所ノイズの実例
Insta360 Ace Proで低照度の画質テストをしてみました。高性能な一眼カメラであっても画質が低下するような極端に暗い場所ではなく、街灯などがある薄暗い環境でのテストです。
通常動画モードの場合
Insta360 Ace Proの通常動画モードで暗所を撮影した場合だと以下のようにザラザラとした高感度ノイズが盛大に発生してしまい、一般的なアクションカメラと同様の低画質となりました。また、露出アンダー気味で全体的に明るさが不十分で暗めの映像になりました。
カメラの設定
- 4K@30fps
- 露出オート(鮮やか、EV:±0、測光モード:多分割、低照度手振れ補正:オフ、WB:自動)
PureVideoモードの場合
以下はInsta360 Ace ProのPureVideoモードの4K@30fpsで低照度手ブレ補正をONで撮影した動画から画像にクロップしたものです。
カメラの設定
- 4K@30fps
- 露出:オート(EV±0、低照度手振れ補正オン、WB自動)
一枚目は日没後20分程経過したマジックアワーの薄暗い状況でPureVideoモードで撮影したものですが、肉眼よりも明るく映すことができ、ザラザラした高感度ノイズは殆どなく非常に高画質なのが確認できました。
二枚目以降は日没後の40分以上経過したかなり暗い低照度の状況のPureVideoモードでの撮影です。さすがに空の暗い部分は若干のノイズ感は否めませんが、全体的にはザラザラした感じのノイズは少なく滑らかで、アクションカメラにしては想像以上に綺麗な画質になりました。恐るべし、Insta360 Ace Pro!
夜景もPureVideoモードだと高感度ノイズが少なく非常に綺麗に撮ることができます。
低照度動画サンプル
以下はInsta360 Ace ProのPureVideoモードで撮影した動画のサンプルです。一般的なアクションカメラで薄暗い場所を撮影すると明るい部分だけがブルブルとしたブレやモーションブラーが発生するのですが、Insta360 Ace ProのPureVideoモードで低照度手ブレ補正をONにすると、不自然なブレがかなり低減されて比較的滑らかに撮影できます。
まとめ
Insta360 Ace Proはアクションカメラなのに暗所でもノイズが少ない高画質な動画が撮影ができると言う点では、他のアクションカメラを圧倒する性能であることは間違いありません。もちろん、暗所で本格的な高画質の映像を撮影する場合は、フルサイズ一眼カメラの方が圧倒的に有利ですが、ジンバルが必要であったりコストや手間もかかるといったデメリットもあるので、手軽に撮影したい場合はInsta360 Ace Proの方が使い勝手が良いかと思います。
アクションカメラが苦手としていた朝夕の薄暗い時間帯、薄暗い室内でも、Insta360 Ace Proの画質なら躊躇することなく使えるので、撮影の幅が広がるのではないでしょうか? アクションカメラとして使うだけでなく、Vlogや車載カメラなど、アイデア次第で色々な使い方が出来そうです。
Insta360は革新的な技術をアクションカメラに搭載して、概念を覆されるような驚くべき製品を今後も出してくるのではないでしょうか? GoProやDJIも触発されて進化を遂げそうなアクションカメラに期待が高まります。