長年デジタル一眼カメラで写真を撮り続けているとRAWファイルが増え、年々デジタルデータが蓄積してしまい、それに伴い外付けHDDなどの記録媒体も増え続けるのが悩みの種となります。撮影する頻度や枚数にもよりますが、長い目で見ると写真データの長期保存は結構深刻な問題ではないでしょうか?
今回は、写真のデジタルデータを長期保存するベストな方法はどれなのか、記録媒体の寿命や特徴などを調べてまとめてみました。
写真データの記録媒体の寿命に要注意!
先日突然、何の前触れもなく、写真のRAWファイルを保存していた外付けHDDが故障してアクセス不能になってしまいました。幸いにも他の外付けHDDにある程度バックアップは取っていたので、被害は直近1カ月に撮影したRAWデータだけでした。現像時に書き出したTIFFファイルはPC内部に保存していたので、最悪の事態は免れたのですが、バックアップの重要性を痛感しました。
その時使っていたSeagate社の外付けHDDは3年間の無償データ復旧保証があったのですが、壊れたのが3年半位経ってからだったので、保証対象外という事で復旧する事が出来ませんでした。寿命が近い記録媒体を使い続けるのは非常にリスクが伴うので、早めの対応をするのが賢明かと思います。
データ復旧ソフトでは難しい
寿命で故障した記録媒体は、PCで認識しなくなってしまうと、データ復旧ソフトでもアクセスできなくなるので、データを復旧させることが出来なくなります。仮にアクセス出来たとしても、データ復旧ソフトは完全に復旧できると言う保証は全くなく、一部の写真データが復旧できればラッキーな位なので、あまり過信はしない方が良いかと思います。
有料のデータ復旧サービスは高額でコスパが低い
有料のデータ復旧サービスを使えば、データが元に戻る可能性はありますが、料金の相場が4万円位からが多く、容量が大きいと10万円以上になることもあるので、本当に重要な写真でない限りは費用が見合わないので諦めるのが無難ではないでしょうか。
長期保存する上での記録媒体の寿命や特徴
デジタルデータを長期保存する上で重要なのが、記録媒体の耐久性や寿命かと思います。大切に保存しておいたRAWファイルが記録媒体の経年劣化や故障が原因でデータにアクセスできなくなると言ったトラブルも起こりうるので、寿命を把握し壊れる前に対策を施す必要があります。
HDD
使用頻度にもよりますが、PC内蔵HDDや外付けHDDの寿命は3年~5年と言われています。外付けHDDのメーカー保証は、1年から3年が殆どで、それ以上の保証はしていないのが現状です。できるだけ、保証期間の長い製品やデータ復旧サービスが受けられるメーカーを選ぶのが安心かと思います。
Seagate社の3年間の無償データ復旧保証のある外付けHDDが保証期間内に壊れた場合は、無料でデータを復旧してくれて、新しい製品と交換してくれると言う安心のサービスです。しかし保証期間が過ぎると、Seagate社では有償での復旧サービスは行わないので注意が必要です。保証が切れる前に買い替えるのが得策です。
NAS(ネットワークHDD)
24時間稼働させるNASで使用するHDDの寿命は3年~5年と言われています。一般的な外付けHDDよりも耐久性があるHDDが使われている場合が多いようですが、やはり長期保存という観点ではあまり過信しない方が良いかもしれません。
Seagate社のNAS用HDDのIronWolfシリーズでも、 データ復旧3年&5年保証となるので、寿命が近づいてきたら早めに交換する必要があります。
他のメーカーでも安価なモデルで保証は2年程度で、ハイエンドモデルでも5年程度になります。
USBメモリー
使い方や製品にもよりますがUSBメモリーの寿命は3年~5年と言われています。USBメモリーはデータの書き換え回数が増えるほど劣化し、寿命になるとデータが破損したり、データにアクセスできなくなると言ったリスクがあります。
また、USBメモリーは、長期間使わずに放置しているとデータが自然消失してしまったり、認識しなくなったりする恐れがあると言われているのでデジタルデータの長期保存にはあまりおすすめできません。特に安価な製品ほどデータの自然消失のリスクが高まるので注意が必要です。
SDカード
SDカードやマイクロSDカードの仕組みはUSBメモリーと同様なので、寿命は3年~5年と言われていて、データの書き換えをすればするほど劣化していきます。また、SDカードやマイクロSDカードは長期間使わず放置していると保存していたデータが自然消失したり、データを認識しなくなったりするリスクもあるので、データの長期保存にはあまり向いていません。
SDカードは、コンパクトでかさばらないと言ったメリットがありますが、HDDやSSDに比べると記録できる容量に限界があり、大容量のSDカードは割高になる傾向があり、やはり一時的なデータ保存として考えておいた方が良いかもしれません。
SSD
使用頻度にもよりますがSSDの寿命は5年~10年と言われています。SSDの基本的な仕組みはUSBメモリーやSDカードと同様ですが、高速で読み書きができる上に耐久性も良いという点では、デジタルデータの長期保存するには良さそうです。ただし、SSDも長期間放置して通電しないとデータが自然消失するというリスクもあるようなので過信は禁物です。
ポータブルSSDのメーカー保証は、大抵は3年~5年とHDDに比べると比較的長く安心感があります。SSDを選ぶ際は、安価で保証期間が短い製品よりは、少し高価でも保証期間が長い製品の方が将来的にデータ消失の回避ができ安上がりになる可能性があります。
既製品の外付けポータブルSSDでなくても、内蔵SSDと外付けケースを自分で組み合わせる事で自作の外付けSSDとして使用でき、しかも割安で手に入れる事ができるのでおすすめです。内蔵SSDも大抵は3年~5年の保証があるので安心です。
光ディスク(DVD、Blu-ray)
CDやDVD、Blu-rayなどの光ディスクの寿命は10年~30年と言われています。また、DVD、Blu-rayの耐久性を高めたM-DISCの寿命は100年以上と言われていて、光や熱、湿度などによる経年劣化に強く、生涯保存が可能になります。100年後にデータを読み込むデバイスがあるかどうかは疑問ですが…。
耐久性を考えると光ディスクが比較的安心して長期保存が可能ですが、容量がBlu-rayで最大128GBと少ないのが最大のデメリットとなります。
また、読み書きできるデバイスも必要になり、経年劣化でデバイスが壊れてしまうと、記録してある光ディスクに問題が無くても、データが読み取れなくなると言ったリスクも念頭に置いておく必要があります。
年々蓄積される膨大な写真のデジタルデータ
過去の不要なRAWファイルは削除する
私の場合、数年前に撮影したRAWファイルを再現像したり、見返したるするかと言うと、ほとんどしない気がします。ベストショットの写真であったり、何度か現像した写真であれば、フォトコンテストに応募したりする為に必要になるかもしれませんが、全く現像していないようなRAWファイルは将来的にほぼ使う事がないので、思い切って削除したほうが良いかもしれません。
年々蓄積される写真データの量を考えると、過去に撮影した不要なRAWファイルは出来る限り整理し削除することで、記録媒体が過度に増えるという事も回避できます。記録媒体の寿命の問題もあるので、保存すべきデジタルデータは、厳選してコンパクトにまとめておくのが最良の手段かと思います。
結論:写真データを長期保存するおすすめの方法
現状としては、大量の写真データを長期間安全に保存できる記録媒体がほとんど存在しないという事実。まあ、20~30年もすれば、新たな記録媒体が開発されると思うので、それまで我慢するしかないようです。
コストパフォーマンスで考えるとHDD
大量の写真データがある場合は外付けHDDが圧倒的にコスパが良く、3年弱に一度のペースで買い替えれば、比較的安全にデジタルデータを保存出来るかと思います。特にデータ復旧サービス付のHDDなら安心感があります。
二重でバックアップを取る場合は、同じモデルのHDDを同時に購入してしまうと、同じ時期に壊れる危険性があるので、時期をずらして購入するのが良いかと思います。
高価だが読み書きが高速なSSD
個人的には、若干高価ですが寿命がHDDより長めのSSDの方が一番おすすめのデータの保存方法かと思います。読み書きの速度も速く作業効率も良いので、定期的にデータにアクセスする人にはベストな保存方法ではないでしょうか。
二重でバックアップを取る場合は、同じモデルのSSDであれば時期をずらして購入するか、もしくはHDDでバックアップを取るという方法もアリかもしれません。
厳選した重要なデータはBlu-rayやM-DISC
過去の産物になりつつある光ディスクですが、新しい技術の記録媒体よりもデジタルデータを安定して長期保存という観点では安心感があります。
Blu-ray1枚に保存できる容量が最大128GBと少ないので、写真のデータ量が少ない人や厳選した重要な写真データを長期保存しておくのに良いかもしれません。記録するBD-RやM-DISCのメディアや読み書き用の外付けドライブも比較的お手頃価格でコスパも悪くないので、導入する価値はあるかと思います。
災害にも強いクラウドストレージ
自分で用意した記録媒体の場合、天災や火事、盗難などのリスクがあり、全てのデータを失う可能性がありますが、クラウド上にあるストレージに写真データを保存しておけば、それらの原因によるデータ消失を回避する事ができます。
ただし、クラウドストレージは容量が少なかったり、長期間の維持費を考えるとコスパはあまり良くないのがデメリットとなります。また、写真データにアクセスするには、インターネットに接続してオンラインである必要があり、アップロードやダウンロードにも時間がかかると言った点にも注意が必要です。
厳選した写真データのみであれば、クラウドストレージに保存しておくというのは良い方法かと思います。