ZTF彗星(C/2022 E3)が2023年1月下旬から2月初旬に明るくなり見頃をむかえ、撮影チャンスが到来しそうです。ZTF彗星が5等以上の明るさになれば肉眼でも緑色の尾がハッキリと見られるかもしれません。
今回は、ZTF彗星の見頃の時間や方角、撮影方法などをまとめてみました。
ZTF彗星の見える方角と見頃の時期
ZTF彗星の見える方角
ZTF彗星の見える方角は北を中心とした北東から北西の間位で、北極星を中心に反時計回りの軌道で日時によって方角と高度が変わるので、星空観測アプリを利用して事前に把握しておくのがおすすめです。
ZTF彗星の見頃の時期
ZTF彗星の見頃は5等台の明るさになると予想されている1月下旬から2月初旬頃です。2月6日が満月なので出来るだけ月が出ていない時間帯を狙うのが良さそうです。
2月2日頃にZTF彗星が地球に最接近した後、徐々に離れていくので、2月中旬頃には暗くなっていき、北極星を中心とした軌道も大きくなっていきます。
風景と一緒に撮るなら1月22日から27日頃
ZTF彗星を風景と一緒に撮影するなら1月22日から27日頃がおすすめです。その理由は、1月22日が新月で月明かりの影響が少なく、夕方頃から深夜までの時間帯は比較的低い位置に見えるので風景と絡めて撮影しやすいという点です。
現段階の予想では、この時期はZTF彗星は6等前後の明るさで、彗星の尾が肉眼で見えるかどうか微妙な感じで、超広角や広角レンズで撮影した場合はZTF彗星が小さく写る可能性が高いので、風景と絡めるなら50mm位の標準レンズが良さそうです。
2023年1月25日21時頃の場合、ZTF彗星は北北東辺りの方角で、高度が約16度、明るさは5.88等級となります。この位の高度であれば、遠景の高い山と一緒に撮ることも可能かもしれません。
また、この時期の深夜から明け方にかけては、ZTF彗星が高い位置に移動し一晩中見る事が可能で、星のみを撮影するのも良いかもしれません。
例えば、2023年1月26日3時頃の場合、ZTF彗星は北東辺りの方角で、高度が約50度、明るさは5.86等級となります。この時間帯はかなり高い位置に見えるので、風景と一緒に撮るのは厳しいかと思います。
一番明るい時期を狙うなら1月31日から2月2日頃の夜明け前
彗星の尾を撮影するにはZTF彗星の明るさが最大になる頃が最適かと思います。ZTF彗星が5等台の明るさで、尚且つ月明かりの影響を受けにくいのが、1月31日から2月2日頃の月が沈んでからの夜明けまでの時間帯です。この時期のZTF彗星は北極星の近くを反時計回りで周る軌道なので見つけやすいかと思います。
例えば、2023年2月1日4時30分頃の場合、ZTF彗星は北北西辺りの方角で、高度が約36度、明るさは5.4等級となります。北極星の近くのある程度高い位置に見えるので、風景と一緒に撮影するのは難しいかもしれません。
ZTF彗星の正確な位置を確認する方法
ZTF彗星の見える正確な方角や高度を確認するには、星空、天の川や月の位置が分かる無料アプリStellariumのデスクトップ版(Windows & Mac対応)が便利です。⇒ Stellarium
StellariumにZTF彗星を表示させる方法
Stellariumのデフォルトでは、ZTF彗星(C/2022 E3)が表示されないので、無料のプラグインを追加する必要があります。
Stellariumに無料プラグインを追加する手順
① Stellariumを起動させ、画面左側にある【設定画面】をクリック
② 小ウィンドウが開くので、上部アイコンの一番左にある【プラグイン】を選択
③ 左一覧から【太陽系エディター】を選択し、右下にある【設定】をクリック
④ 小ウィンドウが開くので、真ん中タブの【太陽系天体】を選択し、【 MPCフォーマットで軌道要素を取得…】をクリック
⑤ 小ウィンドウが開くので【一覧から検索】の天体の種類【彗星】を選択
⑥ 【配布元の選択】で、【ブックマークリストから選択…】のプルダウンからMPS’s list of observable cometsを選択し、【軌道要素を取得ボタン】をクリック
⑦ 新たな読み込み可能な惑星が一覧表示されるので、「ztf」と入力
⑧ C/2022 E3 (ZTF)を選択しチェックを入れ、【天体の追加】ボタンをクリック
これでStellariumにZTF彗星が追加されました!
ZTF彗星の表示確認方法
① 先ほどの追加作業で開いた小ウィンドウを全て閉じ、画面左の【検索画面】をクリック
② 入力窓に「ZTF」と入力すればピンポイントで表示される
そうするとZTF彗星がどの位置で見れるのかが確認することができます。任意の日時を指定すれば、その時の明るさの等級、正確な方角や高度なども表示されるので、撮影プランを立てるのに非常に便利です。
ZTF彗星の撮影方法
ZTF彗星の撮影方法は、基本的に星景写真の場合と一緒で大丈夫ですが、超広角や広角レンズだとZTF彗星は小さく写ってしまう可能性があるので、できれば標準レンズから望遠レンズがおすすめです。
カメラ機材
- 一眼カメラ
- 三脚
- f2.8以下の明るい標準から望遠レンズ
- レリーズ・リモコン
- 赤道儀(望遠レンズを使用するなら)
標準から望遠の焦点距離でZTF彗星を撮影するとなるとシャッタースピードはかなり短くなるので、f2.8以下の明るいレンズが必要です。
カメラ設定
- シャッタースピード: 5~10秒位
- ISO: 3200~12800位
- 絞り: 開放(低い値)
- マニュアルフォーカス
ZTF彗星を固定撮影する際のカメラの設定は、撮影時の明るさやレンズの焦点距離によって設定が変わってくるので、ヒストグラムで露出(明るさ)を確認して、微調整するのが良いかと思います。広角レンズで撮影する時よりも、シャッタースピードは短めで、ISOは高めにすると失敗が少ないと思います。
焦点距離が長い望遠レンズは、シャッタースピードをかなり短くしないと星が線状になってしまうので、赤道儀を使用して追尾撮影する必要があります。ただし、彗星は恒星と違う速さで動くので彗星がブレないように、赤道儀を使う場合でもシャッタースピードは、短めにするのが良いかと思います。
星景写真の撮影方法が不確かな場合は、以下の記事を参考にしてみて下さい。


星景撮影のプランを立てる際に便利なアプリ『PhotoPills』が便利

まとめ
2020年のネオワイズ彗星に比べると規模が小さいZTF彗星ですが、滅多に見る事の出来ない彗星を撮影するチャンスです。彗星なので思ったよりも明るくなったり、暗くなったりする予想通りにならない可能性があり、天候も大きく左右するので、上手く撮れるかどうかは日ごろの行いと運次第といったところです。