光跡が幻想的なホタルの撮影方法!スローシャッターと比較明合成がポイント

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光跡が幻想的なホタルの撮影方法 カメラ基礎知識

初夏の夜に美しく光るホタルを一眼カメラを使いスローシャッターで複数枚撮影し、比較明合成することで幻想的な光跡となります。初心者にとっては少しハードルが高いかもしれませんが、正しいカメラ設定と撮影方法を把握していれば、ホタルを撮る事ができます。

今回は一眼カメラでホタルの光跡を撮る為のカメラ設定や撮影方法などを詳しく解説します。

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ホタルの種類と生息地

日本で一般的に知られているホタルは、主にゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類になります。ホタルは、6月中旬から7月上旬頃、複数の条件が揃わないと中々見ることができず、昔と比べると激減している非常に貴重な生物です。

ゲンジボタル・ヘイケボタルの特徴

シャッタースピードを遅くしてゲンジボタルやヘイケボタルを撮影すると光跡の線として写るのが特徴です。ゲンジボタルの方が光跡が長く、ヘイケボタルの方が光跡がやや短く写ります。

ゲンジボタルやヘイケボタルの生息地は、日本各地の水が綺麗な河川や田んぼなどの水辺で見ることができます。アクセスしやすい整備された公園など観光地化された場所では、ゲンジボタルやヘイケボタルの観賞イベントなどが開催されているケースも多いので、撮影スポットを探すのは比較的容易です。

ヒメボタルの特徴

シャッタースピードを遅くしてヒメボタルを撮影すると点として写るのが特徴です。

ヒメボタルの主な生息地は、水辺ではなく主に森林の中で、西日本では低地、東日本は標高の高い山間部に分布していて、ゲンジボタルやヘイケボタルと比べると目撃情報が少なく撮影スポットが限られてきます。

インターネット上で目にするヒメボタルの写真は西日本で撮影されたものが殆どですが、実際には東日本にも生息していて、山間部の為、なかなか目撃されにくいという見解もあるようです。ひょっとしたら皆が知らないだけで、結構ヒメボタルが色々な所に居るかもしれないですね。

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ホタル撮影時に守るべきマナー

ホタルは絶滅の危機にあるといわれる希少な生物です。ホタルを撮影する際は、必ずマナーを守り、身勝手な行動は止めましょう。

ホタルを捕まえない・触らない

当然のことですが、ホタルを捕まえたり、触ったりしないようにしましょう。ただでさえ、数の少ないホタルを捕まえたりする事で死んでしまい、その場所のホタルが絶滅してしまう恐れがあるので、絶対にやめましょう。

ホタルに向けて強い光を当てない

ホタルが光を放っているのはコミュニケーションしている為で、ホタル以外の人工的な光は邪魔になります。ホタルは強い光に対してはストレスの原因になるので、懐中電灯やヘッドランプ、スマホのLEDライト、カメラから発光するライトやストロボはなどの強い光が当たらないに注意しましょう。

立入禁止区域に入らない

ホタル撮影に限ったことではありませんが、良い写真を撮りたいが為に立入禁止エリアや私有地に入らないようにしましょう。また、ホタルが生息している川や草むらなどの自然も破壊しない様にすることが重要です。

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ホタル撮影に必要な機材

一眼カメラでホタルの光跡を撮影するにはスローシャッターが基本となり、初心者向けのエントリーモデルでもカメラの設定を間違えなければ問題ありません。

三脚

ホタルの光跡を撮影するには、スローシャッターにしてカメラを固定する必要があるので、三脚は必須になります。カメラをしっかりと固定できる三脚であれば、アルミ製でもカーボン製でもどちらでも大丈夫です。

レリーズ

せっかく一眼カメラを三脚に固定したのに、直接カメラのシャッターボタンを押してしまうとブレの原因になるので、レリーズもしくはリモコンを使うようにしましょう。

2秒タイマーで代用できるんじゃないの?と思うかもしれませんが、セルフタイマーランプが発光・点滅してしまうので、ホタル撮影ではNGです。

f2.8以下の明るいレンズ

基本的にホタル撮影は暗い場所で行うので、光を多く取り込めるf2.8以下の明るいレンズがおすすめです。また、明るいレンズの方がボケを活かしてホタルの光を幻想的に表現することが可能になります。

焦点距離は超広角だとホタルの光跡が小さく写るので、50mm前後のレンズがおすすめです。また、ホタルの密集感を出したい場合は、圧縮効果や前後のボケを活かせる85mm位の中望遠レンズで狙うのも面白いかと思います。

ホタル撮影時のカメラの基本設定

ホタルの光跡を撮影する際のカメラの基本設定は以下になりますが、ホタルを保護する目的でカメラから何らかの光を発したり、点滅しないように設定にすることも重要になってきます。

カメラの操作に不慣れな場合は、出来る限り明るい場所でカメラの設定を済ませておいて、撮影場所で長い時間カメラの液晶モニターを使わなくても良い様に準備しておきましょう。

モード マニュアルモード
絞り値 f2.8以下
シャッタースピード 10~20秒
ISO 1000前後
ピント合わせ MF
AF補助光 OFF
2秒タイマー 使用しない
フラッシュ 厳禁

絞り値

絞り値はレンズにもよりますが、ホタルの光がボケるようにしたいので、絞り開放で出来るだけ小さいf値にします。できればf2.8以下に設定するとボケやすくなり、特にヒメボタルの場合、ホタルの光のボケの大きさに強弱が生まれ、より幻想的に仕上がります。

シャッタースピード

ホタルの光跡を撮影する場合のシャッタースピードは10~20秒位のスローシャッターに設定します。

一枚撮りで数分間シャッターを開けっぱなしにする方法もありますが、適正露出にするのが難しく、人や車のライトなどの不要なものが途中で写り込んでしまうと修正が効かなく失敗してしまいます。

ISO

ISOの設定は、撮影場所の明るさやシャッタースピードの違いで変わってきますが1000前後に設定して、試し撮りをして、ヒストグラムを見ながら白飛び・黒潰れしないように微調整します。

ピント合わせ

ピント合わせは暗い場所なのでマニュアルフォーカスが基本です。もちろん、ホタルが飛翔する前の明るい内にオートフォーカスでピント合わせしておいても問題ありません。

ピントを合わせたら、不用意にピントがずれないようにテープを貼って固定しておくと失敗を防ぐことができます。

AF補助光はOFF!

一般的な一眼カメラのデフォルト設定では、AF補助光がONになっている場合が多いので、ホタルを撮影する際は必ずOFFにしましょう。カメラのAF補助光は暗闇だと結構明るく、ホタルに悪影響を及ぼす可能性があります。

もし、設定が分からない場合は、AF補助光の発光部分にテープなどを貼り付けて光が漏れないように対策しておくと良いと思います。

2秒タイマーは使わない

2秒タイマーなどセルフタイマーにしているとセルフタイマーランプが発光・点滅してしまうので注意が必要です。大抵のカメラはセルフタイマーランプのON/OFFの切り替え設定はなく、セルフタイマーを使用しなければ発光しなくなるので、レリーズは忘れずに持っていくようにしましょう。

フラッシュは厳禁

もちろんの事ですが、フラッシュは厳禁です!フラッシュを使ってもホタルを撮影することはできません。周りの人に迷惑なだけでなく、ホタルが居なくなってしまう恐れがあるので、絶対に止めましょう。

ホタルの撮影方法

明るいうちに構図&ピント合わせ

暗くなってホタルが飛び始めてからだと構図やピント合わせが難しくなるので、明るいうちに現地に着くようにして、カメラの設定を完了しておくことが重要です。特に初めて行く場所だと、暗くなってからでは構図を決めるのが困難になるので、あらかじめロケハンをして撮影場所の目星を付けておくことをおすすめします。

時間があれば風景を別撮り

もし時間に余裕があれば、ホタルが飛び始める前の少し明るい時間帯に景色用にISOを抑えて別撮りしておくと、高感度ノイズの少ない綺麗な仕上がりになります。

ホタルが飛び始めたら撮影開始

風景部分を別撮りしている場合は、露出アンダー気味でホタルの光跡が撮れていれば問題ありません。比較明合成は明るい部分だけが合成され、暗い部分は無視されるという特性があるので、ホタルの光の明るい部分だけ上手く合成されます。

風景部分を別撮りしない場合は、ヒストグラムを確認して、風景が黒潰れしない程度の露出に設定して撮影します。

比較明合成するので多めに撮影するのがポイント!

狙った構図にホタルが上手くフレームインするかどうかは判らないので、多めに撮影しておくのがポイントです。多めに撮っておけば選りすぐりの写真だけをバランスよく合成する事ができ、失敗を回避できます。

インターバル撮影するのもアリ

ホタルが飛んでいるのを見計らってタイミングよく手動でシャッターを押しても問題ありませんが、ホタルの光跡は最終的には複数枚の写真を比較明合成するので、インターバル撮影にするのも一つの手です。インターバル撮影に設定すれば、手動で何度もシャッターを押す必要もなく、あとからタイムラプス動画にすることも可能で一石二鳥です。

ホタルの写真を比較明合成する方法

ホタルの写真は一枚撮りだと光跡が少なく寂しいので、写真編集ソフトを使って複数枚の写真を比較明合成するのが基本となります。有料ソフトであればPhotoshopやSILKYPIX PRO、無料ソフトならSiriusCompで比較明合成が比較的簡単に行えます。

Photoshopで比較明合成する手順

あらかじめ、比較明合成する複数枚の写真をLightroomなどの現像ソフトで色味などを調整して、TIFファイルに書き出しておきます。

  1. ファイル > スクリプト > ファイルをレイヤーとして読み込み
  2. 読み込む画像を全て選択し、OKをクリック
  3. 読み込んだら、全てのレイヤーを選択して、描画モードを【比較(明)】に変更すれば完了

合成する枚数によってホタルの光跡の量が変わるので、各レイヤーの表示・非表示で切り替えて、好みの雰囲気になるように調整してみるのが良いかと思います。

ゲンジボタルの光跡

ゲンジボタルの光跡を比較明合成した作例

まとめ

ホタルが見られる場所や時間帯は、有名観光スポットであれば各地方自治体などで情報発信している場合が多いのでネットで調べると比較的簡単に見つかると思います。蒸し暑くて風のない日を狙って行けばホタルが飛翔しやすいと言われているので、あとは運次第!

場所によっては、天の川や星空と一緒に星景&ホタルの季節限定のコラボ写真も撮影できるので、是非挑戦してみてはいかがでしょうか?