明暗差の激しい逆光の風景写真は白飛びしやすく、完全に白飛びしてしまうと色情報が無い為、RAWファイルであっても修復する事ができません。多少の露出オーバーであれば、Lightroomである程度補正することは可能ですが、真っ白になってしまった白飛びはPhotoshopを使うしか方法はありません。
今回は、完全に白飛びしてしまった風景写真の空をPhotoshopを使って復元する裏技的方法をご紹介します。
白飛びとは?
白飛びとは、露出オーバーで写真が明るくなりすぎて、ハイライト(明部)が真っ白になってしまう状態で、主に逆光などの明暗差の激しい状況で発生しやすくなります。
白飛びと言っても、モニター上では真っ白に見えていた写真でも、実際にはRAWファイルに色情報が残っていれば、Lightroomなどの現像ソフトでハイライトをマイナス補正すれば、簡単に修復することができます。諦める前にヒストグラムを確認して、補正してみてください。
しかし、完全な白飛びというのは、階調が無く色情報が白しか残っていない真っ白な状態なので、完全に元通りに修復する事はできません。
撮影時にハーフNDを使ったり、オートブラケット撮影してHDR合成するなど、白飛びをしないように対策することをおすすめします。
Photoshopを使った白飛びの復元方法
Photoshopを使って完全に白飛びした部分を復元するには、同じ写真の中から色情報のある部分を複製し、白飛びした部分に継ぎ足す方法で実現できます。
雲のある場合の白飛び復元方法
白飛びした空に雲がある場合は、白飛びした周辺の近い色の雲をPhotoshopのコピースタンプツールを使って復元します。
新規レイヤーを追加
復元したい画像をPhotoshopで開いたら、新規レイヤーを追加します。オリジナルの画像に直接コピースタンプツールを適用するのではなく、まずはコピースタンプツール用のレイヤー上で行います。
コピースタンプツールで似た部分をコピー
画面左のツールバーから【コピースタンプツール】に切り替えます。
画面上部の設定項目のサンプルは【現在のレイヤー以下】を選択します。この設定をすることで、下のレイヤーから現在選択されているレイヤーにコピーされるようになります。
白飛びの大きさに合わせてブラシのサイズを調整します。不透明度や流量は100%のままでOKです。
似た部分の上でaltキーを押しながらクリックした後、カーソルを白飛びした分に合わせてドラッグすると、コピーされます。
描画モードを比較(暗)でブレンド
空をコピーしたら、レイヤーの描画モードを【比較(暗)】に変更します。比較(暗)にすることで、下のレイヤーの暗い部分を保ったままブレンドされるので、元々あった雲を生かした状態になり、レイヤーが馴染み違和感のない仕上がりになります。
あとは好みでレイヤーの不透明度を変更し、微調整したら完成です。
雲のない場合の白飛び復元方法
雲のない空は、微妙なグラデーションがありコピースタンプツールを使うと斑になりやすく、自然な仕上がりにするのが意外と難しいので、白飛びした周辺の一部をコピー&ペーストして使います。
多角形選択ツールで似た部分をコピー
画面左から多角形選択ツール、または、なげなわツールに切り替え、白飛びしている周辺の似たような色の場所を選択します。この時、選択範囲が白飛び部分よりも小さくてもOKです。
選択状態のまま、コピー(Ctrl+C)&ペースト(Ctrl+V)すると、コピーしたものが新たなレイヤーとして追加されます。
大きさを調整
コピーした部分の位置や大きさを調整したいので、自由変形(Ctrl+T)を適用し、バウンディングボックスを表示させます。
白飛びしている部分が隠れるように大きさを調整します。大雑把でOKです。
描画モードを比較(暗)でブレンド
コピーしたレイヤーの描画モードを【比較(暗)】に変更します。下のレイヤーと馴染み違和感がなくなりますが、まだ、境界線が見えた状態です。
境界線をぼかす
境界線を目立たなくする為に、コピーした空のレイヤーをぼかします。
上部メニュー > フィルター > ぼかし > ぼかし(ガウス)
半径の数値はプレビューを見ながら調整します。数値を大きめにしてぼかしたほうが境界線が目立たなくなります。
場合によっては、レイヤーにマスクをかけて大きめのブラシで境目をぼかすと自然な仕上がりになります。
あとは好みでレイヤーの不透明度を変更し、微調整したら完成です。
動画で見る
YouTubeに白飛びした風景写真の空をPhotoshopで復元する方法を動画にしてアップしました。
まとめ
個人的には多少の白飛びは全然OKだと思うので、あまり神経質にならなくても良いかと思います。白飛びしそうであれば、まずはハーフNDを使ったり、オートブラケット撮影したりといった、撮影時に対策することが重要です。
万が一、完全に白飛びしてしまった場合は、今回ご紹介したレタッチ方法を試してみてはいかがでしょうか?過去に撮った失敗写真もある程度は蘇らせることができるかもしれません。