幻想的で美しい雲海を撮影するには、発生条件を把握しておけば、一気に出会える確率がアップします。雲海は、ある特定の条件が揃うことで初めて現れる珍しい自然現象で、地域によっても見れる季節や発生条件も若干異なります。
今回は、雲海の発生条件や霧のメカニズム、見られる季節や時期など詳しく解説します。
雲海とは?
雲海とは、高い場所から雲を見下ろした時に海のように見える雲や霧のことを言います。飛行機や高い山、小高い丘などから、標高に関係なく、自分のいる場所から見下ろした雲や霧のが海のように見えれば雲海と言うことになります。
山や丘などから見下ろせる雲は、ある程度低い位置にある層雲や霧で、これらが一定の条件を満たすと雲海として見ることができます。
雲と霧の違い
雲も霧も本質的には同じで、冷やされた空気が水蒸気になり大気中に浮かんでいる水滴のことですが、雲と霧の違いは、自分のいる位置の地面に接しているか否かです。地面に接していないのが雲、接しているのが霧となります。
例えば、山にかかっている雲の場合は、低い場所から見上げると雲ですが、その雲のかかっている場所を登山している人にとっては霧、更に上から雲を見下ろせば雲海となります。見る場所によって、雲なのか霧なのかという違いです。
霧が発生する基本的メカニズム
霧が発生するメカニズムは、空気中に目に見えない気体として蓄えられる水蒸気量(飽和水蒸気量)は、気温が高いほど多いのですが、地表付近の空気が冷やされて温度が下がると、空気中に蓄えきれなくなった水蒸気が飽和状態となり小さな水滴に変わり、空気中を浮遊する霧へと変化します。
つまり、多くの水蒸気を蓄えていた暖かい空気が、急激に冷やされる事で、多くの小さな水滴の霧を発生させます。
雲海となる霧の種類
霧にはいくつか種類があるのですが、雲海として一般的に見られるのは主に3つの霧によるものです。
放射霧
放射霧とは、放射冷却と言われる現象により、地面から熱が放射されると地面が冷え、地表近くの水蒸気を多く含んだ空気の温度が下がることで発生する一般的な霧です。
雲の多い夜は、放射された熱が雲によって遮られるのですが、雲のない晴れた夜は、熱の放射を遮るものがない為、効率よく熱が逃げ急激に冷え込みが進み、霧が発生しやすくなります。
朝晩が冷え込む寒暖差の激しい時に発生しやすくなるのが放射霧で、風が弱いと長く滞留しやすい特徴があります。
蒸気霧
蒸気霧とは、温かい水面に冷たい空気が流れ込み、水面から蒸発した水蒸気が冷やされ発生する霧のことで、湯気をイメージすると分かりやすいかと思います。主に湖や川で発生しやすい蒸気霧は、湖霧や川霧などとも呼ばれ、温度差が大きいほど、多くの霧が発生します。海が近くにあったり囲まれている地域であれば蒸気霧が発生する場合もあります。
放射霧と同様に、雲がない晴れた夜に放射冷却が起こると、蒸気霧も発生しやすくなります。
移流霧または海霧
移流霧とは、暖かく湿った空気が水温の低い海上へ移動することで発生する霧のことで、海霧とも言われています。日本の場合は主に春から夏にかけて発生する霧で、北海道などで良くみられるようです。
雲海の発生条件
雲海が発生する条件は、霧の種類や場所・地域によって若干違いがあります。
天気
- 湿度が高い
- 急激な気温の低下
- 風が弱い
- 雲がない晴天
場所
- 山間部・盆地
- 近くに海や湖、川などがある
- 空気の流れが少ない場所
季節
雲海を見ることができる季節は、秋をイメージされるかと思いますが、霧の種類や地域、気象条件によって雲海の発生する季節が違う為、実は一年中どこかの地域で雲海を見ることができます。
山間部や内陸部の盆地でみられる雲海は放射霧なので、秋から初冬頃が一番多く見ることができます。
近くに川や湖などがある地域は蒸気霧なので、主に秋に発生しますが、地域によっては春から初夏でも発生する場合もあります。川霧で有名なのが福島県の只見川沿いで6月中旬から9月中旬に発生しやすく、第一只見川橋梁は人気の撮影スポットです。
北海道でみられる雲海は移流霧や海霧が含まれているので、春、夏、秋と長い間、雲海を見れる地域もあります。
標高の高いスキー場なら冬でも雲海を見ることが可能です。
時間帯
雲海を撮影するのに一番良い時間帯は、早朝、特に日の出の前後のマジックアワーがおすすめですが、日が昇る前の暗い時間帯の夜景+雲海も絶景です。幻想的な雲海写真を撮影するなら、早起きが必須条件です。
まとめ
一言に雲海といっても、地域によって見れる時期が違うので、まずは、行きたい場所の雲海シーズンを調べることが重要です。天気予報を見て、霧が発生しそうな日を絞り込み、あとは現地に行ってみてのお楽しみ!霧が発生して幻想的な風景が見れるかどうかは、結局は運次第です。