動物や乗り物など動きのある被写体にピントを合わせて撮影するのは慣れないと結構難しいのですが、置きピンという撮影テクニックを使うことで格段に成功率が高くなります。ある程度動きの予測しやすい鉄道や車などの被写体には置きピンが効果的です。
今回は、動く被写体のタイミングに合わせてシャッターを切る『置きピン』の撮影方法を詳しく解説します。
置きピンとは
置きピンとは、動きのある被写体が現れそうな位置にあらかじめピントを合わせ、構図を決め、被写体が現れたらシャッターを切ると言う撮影テクニックです。
動く被写体を追従してくれるオートフォーカスのAF-Cを使っても、意図したところにピントが合わないという事もあり、動きのある被写体に確実にピントを合わせて、尚且つ構図を決めて、瞬時にシャッターを切るというのは結構至難の業です。
しかし、ある程度動きが予測できる被写体に対してなら、置きピンを使うことで、ピントが合った写真の確率が格段にアップします。
置きピンに適した被写体
置きピンで撮影するのに適しているのは、ある程度予測のできる動きをする動く被写体で、鉄道が定番の被写体です。それ以外にも車などの乗り物、スポーツをしている人物、動物や昆虫などの生き物などです。
逆に不規則で予測不能な動きをする被写体の場合は、置きピンには不向きです。
置きピンで失敗しないカメラ設定
被写体がブレない設定
被写体の動く速さにもよりますが、動きのある被写体がブレないようにシャッタースピードを速めに設定します。
昼間や明るい場所であれば、十分なシャッタースピードは確保できますが、光の少ない場所では、ISO感度を若干高くすることでシャッタースピードを速くできます。
最近のデジタル一眼カメラは性能が良いのでISOを若干上げてもそれほど画質には影響はないので、被写体ブレで失敗しないように、恐れずにISO感度を上げて確実に被写体を捉えるようなシャッタースピードに設定することが重要です。
ピンボケ率を下げる
被写体との距離が比較的近く望遠レンズなどを使ったマクロ撮影など被写界深度が浅い場合、ピントの合う部分が薄くなる為、ピンボケになる可能性が高くなります。そう言った場合は、絞り開放より若干絞るとピントの合う位置が厚くなりピンボケする確率が下がります。どれくらい絞るかは背景のボケ具合を見ながら調整すると良いかと思います。
被写体との距離があり、広角レンズで風景写真のように被写界深度が深い場合は、ピントの合う位置が広いので、絞りがf8以上になっていれば、あまり気にしなくても良いかと思います。
連射に設定
動きのある被写体を撮影する場合、1コマ撮影のシングルショットでは、置きピンであっても、ピントの合った写真にするのは非常に難しいので、連射に設定します。
ニコンであれば、レリーズモードダイヤルをCH(高速連写)もしくはCL(低速連写)に合わせると、シャッターボタンを押し続けている間は連射されるようになります。
置きピンで撮影する手順
予め構図を決める
置きピンで撮影する場合は、被写体の現れる位置をあらかじめ予測して構図を決めておくことで、シャッターのタイミングだけに集中することができます。事前に構図を決めておけば、仕上がりイメージが把握できるので失敗も少なくなります。
三脚を使いカメラを固定しておけば、ベストな構図を保ち続けられるので、あとは被写体がピント位置に現れるのを待つだけでOKです。
ピントの合わせ方
置きピンする場合、被写体が来る位置に事前にピントを合わせておくのですが、その際のピント合わせの方法として3種類あります。
AF(オートフォーカス)
比較的待ち時間が少なく、手持ち撮影の場合であれば、AF(オートフォーカス)で置きピンしても問題ないかと思います。AFのシングルポイントAFにして、被写体の来る位置付近にピントを合わせ、シャッターボタンを半押しして、シャッターチャンスを待ちます。
AFで置きピンすると、シャッターボタンを半押しし続けなければいけないので、長い間待ち続ける撮影には向いていません。
また、手持ちの場合は、被写体との距離が変わるとピントがずれて置きピンの意味がなくなるので注意が必要です。
MF(マニュアルフォーカス)
比較的待ち時間が長い場合や三脚にカメラを固定して撮影する場合は、MF(マニュアルフォーカス)で置きピン撮影するのがおすすめです。被写体の現れる場所にMFでピントを合わせるか、もしくは最初はAFでピントを合わせた後にMFに切り替えるという方法でもOKです。
一度MFでピントを合わせてしまえば、シャッターボタンを半押し続ける必要がなく、被写体が来るまで置きピンして待ち続ける事も比較的容易になります。
親指AF
カメラの初期設定では、ピントとシャッターは同じシャッターボタンで操作するのですが、ピントとシャッター操作をそれぞれ別のボタンに振り分けて独立させた『親指AF』なら、AFでピントを合わせた後にボタンから手を放しても置きピンが出来て、非常に操作が簡単です。
手持ちでも、三脚の場合でも、置きピンが簡単にできる親指AFはおすすめです。
少し前から連射する
置きピンで確実に被写体を捉えるには、被写体がピント位置に来る少し前から連射すると失敗する確率が下がります。
三脚でカメラを固定している場合は、カメラをプレビューモードにして液晶画面を見て、被写体がフレームインしたら早めのタイミングで、シャッターを押し続ければ、ピントの合った写真が撮れるはずです。レリーズを使うとカメラがブレずに連射することができます。
手持ち撮影の場合は、ファインダー越しで視野が狭まるので、シャッターを押すタイミングが若干難しくなりますが、置きピンの位置に被写体が来る前から連射すれば、成功する確率は上がります。
まとめ
動く被写体にピントを合わせて撮影するのは結構難しいのですが、置きピンを使うことで格段に成功率が高くなります。特に鳥や動物、昆虫などはシャッターチャンスが少ないので、AFでどこにピントが合う不確かな状態で撮影するよりは、確実な所にピントの合わせた置きピンで狙うのが効率的なのではないでしょうか?