魚眼レンズは癖があって扱いが難しい印象ですが、特有の湾曲した歪みを理解していれば個性ある写真が撮れる楽しいレンズです。価格が比較的安価な魚眼レンズは、いつもと違う雰囲気の写真を撮りたいという場合に持っていて損はないレンズかと思います。
今回は、魚眼レンズ特有の湾曲した歪みを利用したダイナミックな写真の撮り方を作例と共に解説します。
魚眼レンズの効果的な撮り方のポイント
特有の歪みを理解する
魚眼レンズは中心から離れるほど丸く歪む特徴があります。この魚眼レンズ特有の歪みと超広角のパースを利用することで肉眼では見ることのできないインパクトのある写真に仕上がります。
魚眼レンズの歪みを抑えたい場合は、できるだけ中心付近に主題となる被写体を配置するのがコツで、ポートレート写真であれば、中心付近に人物を配置する構図にすれば、人の歪みは抑えつつ、周辺は湾曲した写真にする事ができます。
また、魚眼レンズであっても、風景写真の地平線を中央に配置すれば歪む事なく水平を保つことができ、主題となる建造物を中央付近に配置すれば垂直に保つことができます。
特徴ある主題・被写体を選ぶ
魚眼レンズで撮影する場合は、特徴があり存在感のある被写体を主題にして大きく写すのがポイントです。魚眼レンズで何となく風景写真を撮っても、全体が小さく写ってしまい間延びした面白みに欠ける写真になってしまうので注意したいところです。
また、左右対称のシンメトリーな被写体を選んで、中央付近に配置するとバランスの良い写真に安定感のある仕上がりになるかと思います。
魚眼レンズと相性の良い被写体
- 特徴的なランドマーク
- 建造物(外観・内観)
- 寺社や鳥居
- 高層ビル群
- 螺旋階段
- 植物・花
- 巨木、森林
- 巨岩・奇岩
被写体との距離
超広角の魚眼レンズは思った以上に被写体が小さく写るので、被写体との距離は通常の広角レンズよりもグッと近づいて撮影するのがポイントです。被写体との距離が近くなることで、近いものがより大きくなり遠近感が誇張され、魚眼レンズの湾曲と共に迫力のある写真に仕上がります。
カメラのポジション&アングル
魚眼レンズは、カメラポジションをアイレベル(目の高さ)ではなく、しゃがんだりして低い位置のローポジションで、上を見上げるローアングルにするとよりパースが強調され、インパクトのある写真に仕上げる事も可能になります。
その逆の見下ろすような角度のハイアングルからの撮影も魚眼レンズの特徴を生かすことができますが、自分自身や三脚などが写り込みやすいので注意が必要です。
相性の良い構図
魚眼レンズと相性が良い構図は、被写体をど真ん中に配置する日の丸構図かと思います。日の丸構図は非常に簡単な構図の一つで、魚眼レンズであっても主題となる被写体の歪みが抑えられるメリットもあります。
また、左右対称のシンメトリー構図やパースを活かした放射線構図も魚眼レンズと相性が良いように思います。
影の映り込みに注意
超広角の魚眼レンズは思った以上に画角が広いので、朝夕の太陽が比較的低い位置にある時間帯に太陽を背にした順光で撮影する場合、自分の影が長くなり写り込みやすくなるので注意が必要です。場所によっては、太陽の方角を確認して、撮影する時間帯を考慮するのがおすすめです。
また、夜景撮影時は、自分の背後に街灯があると自分や三脚の影が写り込む可能性があるので、街灯の位置や光の方向など周りに注意しながら構図を決めると失敗が少なくなります。
魚眼レンズの作例
今回はソニーα7R IVにAPS-C用のSAMYANGの8mm F2.8 UMC Fish-eye IIを装着して撮影しました。
SAMYANG 8mmをフルサイズのα7R IVでそのまま使うと、固定レンズフードが写り込んでしまいケラレが発生するので、APS-Cモードに切り替えればOKです。α7R IVは、APS-Cモードにしても画像サイズは2400万画素クラスのカメラと同等の6240×4160ピクセルになります。これは高画素カメラの大きなメリットですね。
まとめ
魚眼レンズでしか撮れない写真もあり、使いこなせるようになると意外と面白いものです。魚眼レンズは、特殊な部類のレンズなのでラインナップは多くはないですが、比較的お手頃価格なのは魅力的です。普通の写真に飽きた時の息抜きに魚眼レンズを試してみてはいかがでしょうか?