4000万画素前後の高画素機種の一眼カメラはスペックだけを見ると魅力的な部分がありますが、高画素が故のデメリットも存在します。ただ単に高画素カメラ=高性能&高画質と言うような安易な考えで購入してしまうと後悔してしまうかもしれません。
今回は、一眼カメラの購入や買い替えを検討中の方必読の高画素カメラのデメリットを解説します。
高画素カメラとは?
一般的に高画素カメラと言われるのは、4000万画素以上の画素数のカメラのことを言い、一般的な一眼カメラの画素数は2400万画素が主流になっていますので、約2倍近くの画素数になります。
高画素カメラと言われる機種は、ニコンならZ9、Z8、Z7、キヤノンならEOS R5、ソニーならα1、α7R、富士フイルムならX-H2などになります。
同じ機種でも高画素タイプが存在する理由
ソニーであればα7シリーズには高画素モデルα7R、キヤノンであればEOS 5Dシリーズの 5Ds/5Ds Rが存在しますが、同じ機種なのに画素数の違うタイプがある理由は、撮影する被写体や撮影シーンに特化するためです。もちろん一台のカメラで対応できますが、画素数の違いによるメリットを最大限に活用できるように高画素モデルが存在するのです。ソニーのα7には逆に画素数を抑えたα7Sもありますが、その理由は高感度耐性や画質を重視している為で、高画素モデルではできないカメラの特徴を出しています。
高画素カメラの特徴とメリット
- 大きく印刷できる
- トリミングして使いやすい
画素数が大きいと大きく印刷できますが、一般的な2000万画素クラスのカメラでもA3程度の大きさなら綺麗に印刷可能なので、それ以上の大きさで印刷をする必要があるなら高画素カメラが必要になってきます。
高画素カメラならピクセルサイズに余裕があるので、一部をトリミングしても十分な大きさが確保ができるメリットがあります。


高画素カメラのデメリット
高画素カメラになると写真1枚あたりのファイル容量が大きくなり、良いことばかりではなくデメリットが増えてしまいます。
記録媒体の増強が必要
高画素カメラでRAWファイルで写真を記録すると一枚当たりのファイルサイズが大きくなる為、記録媒体は大容量が必須で128GB以上はあった方が安心です。また、連射で撮影する場合は書き込みスピードの速いタイプが必要になってきます。最新モデルの一眼カメラの記録媒体は、SDカードの規格がUHS-II、CFexpressカードだったりと、予想以上に高額になってしまう場合もあります。
また、撮影後の写真ファイルの保存やバックアップする際の外付けHDDやSSDなどの記録媒体の容量を大きめにしないと直ぐに一杯になってしまうので注意が必要です。
処理速度の速いハイスペックなパソコンが必要
データ容量が増える事で、現像やレタッチ処理をする際にハイスペックなパソコンがないと作業に時間がかかり非効率的になってしまいます。2000万画素程度の写真を加工するのに時間がかかるような非力なパソコンでは、当然のことながら高画素カメラの画像を取り扱うには無理があり、思ったような作業が出来ずにストレスが溜まってしまいます。
高画素一眼カメラの現像作業を快適に行うには、ハイスペックなパソコンが必須となります。


解像力のある高性能レンズが必要
画像の隅々まで写すことのできる高画素カメラの性能を最大限に引き出すには、ある程度の解像力のある高性能なレンズが必要になってきます。せっかくの高画素カメラなのに性能の低いレンズを使っていたのでは、綺麗で解像感のある写真を撮ることは出来ずに、宝の持ち腐れになってしまいます。
シグマはArtシリーズ、TokinaはOperaシリーズ、TamronはSPシリーズ、といったような各レンズメーカーは高画素に対応したモデルを発売してます。
ピントやブレにシビア
カメラ自体の性能が向上し手振れ補正などの機能が進化しているのですが、やはり高画素が故にブレやピントのズレが目立ちやすいのは事実です。高画素カメラをブレないように撮影するにはそれなりの技術や知識なども必要になってきます。
高画素カメラは、動きの速い被写体を手持ちで撮影するのは不得意で、どちらかというと三脚に固定して、ピント位置をしっかり合わせるといったような撮影に向いています。
高画素カメラに適した目的と撮影スタイル
A3サイズ以上での印刷
高画素カメラ最大のメリットは大きく印刷出来る事で、A3以上のサイズとなると商業印刷が主な目的になると思います。印刷する目的以外で、パソコンで写真を鑑賞する程度なら、高画素カメラの意味がありません。
マクロ撮影
高画素カメラでマクロ撮影すれば、寄れないような状況でも大きくトリミングしても十分な画素数が確保できるメリットがあります。基本的に三脚を使い、ピント合わせをするので、ブレやピントずれなどの問題も発生しにくい撮影なので、高画素カメラの性能を十分に発揮できます。
風景や星景撮影
風景や星景撮影も、ブレないように三脚を使い、ピンもしっかりと合わせるのが一般的なので、高画素カメラの性能を活かしやすい撮影スタイルです。結局の所、風景や星景撮影も最終的な目的は大きく印刷するか否かで判断すると良いと思います。
本当に高画素カメラは必要ですか?
高画素カメラは魅力的ですが、自分の用途をよく考えてから買わないと色々とお金がかかってしまいます。アマチュア写真家や一眼初心者がオールマイティに使いたいのであれば、一般的な2000万画素程度のカメラの方が圧倒的に使い勝手が良く後悔することは少ないと思います。
金銭的に余裕があって、腕に自信があるのなら高画素カメラでも良いかもしれませんが、実用性を考えるとあまりメリットは感じないと思います。