一眼カメラのレンズの片ボケとは?その原因と確認方法と対処法

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一眼カメラのレンズの片ボケとは?その原因と確認方法と対処法 カメラ基礎知識

新しいレンズを手に入れて、いざ撮影を始めたものの写真の片隅がボケてしまう「片ボケ」に悩まされたというカメラマンは意外と多いと思います。レンズの片ボケは個体差によるものとして諦めていませんか?

今回は、レンズの片ボケとは何か、その原因と確認方法、そして対処法について詳しく解説します。

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レンズの片ボケとは?

レンズの片ボケとは、撮影した画像の片隅、特に四隅付近の片側がボケてしまう不具合の事を言います。中心部付近はピントが合っているのに、四隅周辺の片側だけシャープ感に欠けていて、その反対側がシャープな場合は、片ボケしている疑いがあります。

ただし、四隅全て解像感がない場合、レンズの性能や特性であって、片ボケではありません。

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レンズの片ボケの原因

レンズ自体の光軸のずれ(偏心)や歪み

製造上のレンズの不良や歪みが原因でレンズの光軸がずれて、正確にセンサーに対して垂直ではなくなることにより、画像の片隅の焦点が外れて片ボケてしまうことがあります。レンズ出荷時に検査は行っているはずなので、新品で片ボケが発生する確率は低いと思われますが、メーカーによっては精度が低かったりするので、購入後は保証期間内にチェックすることをおすすめします。

また、レンズの歪みや偏心は製造過程だけでなく、使用中に強い衝撃などを与えた場合にも発生するので、レンズの扱いには注意が必要です。カメラやレンズを落下させた場合は、強い衝撃でかなりの負荷がかかっているはずなので、片ボケしていないか確認した方が良いでしょう。

中古レンズの片ボケは、製造上なのか、強い衝撃によるものなのか判断が付きにくく、いずれにしても保証が効かない場合がほとんどなので、購入時は注意が必要です。個人売買はレンズを安く手に入れることができますが基本的には保証なし&返品不可なので、少し高くても返品可能な大手中古カメラ販売店を選んだ方が安全です。中古レンズの場合も、購入したら早めに片ボケの確認をしておきましょう。

マウントやマウントアダプターの歪み

レンズに問題が無くても、マウント部分に歪みがありレンズがカメラ本体にしっかりと取り付けられていない場合、光軸がズレて片ボケが発生することがあります。

カメラ本体のマウント部分の歪みは稀だと思いますが、マウントアダプターは注意が必要です。精度の高いマウントアダプターなら問題ありませんが、安価なマウントアダプターでガタツキがあったり歪んでいたりすると、微妙な誤差でも片ボケの原因となり得るので無名のメーカーはできるだけ避けた方が良いかもしれません。

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レンズの片ボケの確認方法と手順

遠景を絞り開放・無限遠で撮影

レンズの片ボケをチェックする方法は、遠景を絞り開放(f値をできるだけ小さく)にして、ピントを中心付近に合わせて無限遠で撮影します。要するにパンフォーカスした状態にする事が重要です。手ブレしないように三脚を使ってしっかり固定して撮影すると失敗が無く確実です。また、自然物よりも建物などのピントが合っているか判別しやすい被写体の方が片ボケを確認しやすくなります。

以下の例では、絞り開放f2.0で無限遠にして撮影していますが、この位のサイズであれば全く問題なく、片ボケしている事は分からないと思います。

遠景を絞り開放・無限遠で撮影

遠景を絞り開放・無限遠で撮影

近景じゃダメなの?
絞り開放だと被写界深度が浅くピント領域が狭くなり、自宅の室内などの近景を撮影すると微妙な距離の差でもボケが生じやすい為、近景で片ボケをチェックするには被写体に対してカメラを完全に水平・垂直にする必要があり、難易度が高くなってしまうのであまりおすすめできません。

中央と隅付近を比較

撮影した写真の中央部分と隅付近を比較します。片ボケは、写真の片側(上下左右のいずれか)に集中して発生するので、中央部分がシャープで四隅付近の片側がぼやけている場合、片ボケの可能性が高いと言えます。

以下のサンプルでは中央と左右の一部を等倍(100%大)でトリミングして比較してみました。

片ボケの比較画像

中央と左右の一部を等倍でトリミングして比較

まずは中央付近。絞り開放でもシャープな解像感があり、文字もクッキリしていて問題ない。

片ボケしたレンズの中央付近

レンズの中央付近は絞り開放でもシャープな仕上がりで問題なし。

次に右端付近。中央付近に比べると若干解像感は劣っているがこれはレンズ性能の問題で片ボケではない。文字もある程度のシャープ感があり、ボケた感じではない。

片ボケしたレンズの右端付近

レンズの右端付近も

最後は左端付近。中央と右端に比べると明らかに解像感に欠け、建物や看板の文字もシャープ感がなく、ボケているのが確認できます。ただし、この程度の片ボケであれば、f8位まで絞ることで殆ど目立たなくなります。

片ボケしたレンズの左端付近

左側が片ボケしたレンズの左端付近。明らかにボケているのが確認できる。

レンズが片ボケしている場合の対処法

レンズメーカーに修理依頼する

片ボケしたレンズは、知識が豊富な技術者でない限り自力で修理するのはリスクが高いので、レンズメーカーに相談して修理・調整を依頼しましょう。

レンズを新品で購入し保証期間内で初期不良の片ボケの場合は、ほとんどのメーカーは無償で修理・調整してくれます。ただし、日本国内で修理やアフターサービスを行っている事も重要で、個人輸入で購入した場合は、やり取りに苦労する可能性があるので注意が必要です。

中古品や保証期間が過ぎているレンズは、有償でレンズメーカーが片ボケの修理・調整を行ってくれる場合がほとんどなので、一度相談してみるのが良いと思います。その際の往復送料は自己負担となります。詳しい料金に関してはレンズメーカーによって違いがあるので、問い合わせしてみて下さい。

注意点としては、メーカーによっては軽佻な片ボケだと許容範囲内と言った理由で対応してもらえない場合もあるので、修理依頼する前に、メールなどでやり取りして確認することをおすすめします。

絞って使う

軽佻な片ボケであれば、f8程度に絞って全体の解像感を上げる事で片ボケが目立たなくなります。ただし、根本的な片ボケの解決方法ではないので、星景撮影など絞り開放で使用する場合は、やはり修理することをおすすめします。

まとめ

カメラを始めた頃はレンズの片ボケに関して知識がなくあまり気にしていなかったのですが、新しいレンズを購入した際にテスト撮影して片ボケしていることが判明して以来、必ずチェックするようになりました。

軽佻な片ボケは気付かない場合が多く、しばらく経ってから片ボケに気付いくと言ったケースもあるかと思いますが、保証期間が過ぎてからだとお金がかかってしまうので、購入後はできるだけ早めにチェックすることをおすすめします。

カメラ基礎知識レンズ
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この記事を書いた人
Tomoya Osa

新潟在住の写真家&グラフィックデザイナー。約19年間住んでいたニュージーランドの絶景を写真に残そうと思ったのが写真を始めたきっかけで、風景写真、星空と天の川の星景写真を中心に撮影。写真やカメラに関する情報をわかりやすく解説し発信しています。

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