星空や星景写真を撮影する時に気を付けたいのが、星が線状にならないように適正な露出時間に設定することです。星空撮影する時のシャッター時間は20~30秒が適正と言われていますが、厳密にいうとカメラのセンサーサイズの違いやレンズの焦点距離によって、星が線状になる限界露出時間が変わってきます。
巷で言われている星空撮影時の露出時間20~30秒は、広角~超広角レンズで撮影した場合、確かにほぼ線状にならない露出時間と言えます。しかし、同じように露出時間20~30秒にして標準50mm以上の焦点距離の長いレンズで撮影すると星は線状に写ってしまいます。
星が線状にならない上限露出時間の計算方法「500ルール」
星が線状にならない適正な露出時間(シャッター時間)を知るにはどうしたら良いかと言うと、写真家Dave Morrowさんが紹介している「500ルール」で計算すると簡単に割り出せます。
500ルールの計算方法
500 ÷ レンズの焦点距離(フルサイズ換算)= 上限露出時間(秒)
カメラがフルサイズの場合は、500をレンズの焦点距離で割るだけで上限露出時間が分ります。カメラのセンサーサイズがAPS-Cの場合、レンズの焦点距離を35mm換算する必要があるので、Nikonやソニーなら1.5倍、キャノンなら1.6倍してから500を割ります。
では、500ルールで計算した場合、フルサイズのカメラで広角レンズと言われる24mmで星空撮影するなら、21秒の露出時間が限界になり、標準レンズと言われる50mmで星空撮影するなら、10秒の露出時間が限界になります。それ以上長い露出時間で星空撮影すると線状になってしまうという事です。
試しにTamron 90mmで星空撮影した時の写真が以下になります。カメラはフルサイズ機のニコンD750で露出時間が25秒です。星が線状になってしまい星空がぼんやりした感じの残念な仕上がりになります。
上の写真を等倍(100%)で切り出すと星が線になっているのが良くわかると思います。
ちなみに90mmの焦点距離で星空を点で撮影するには、500ルールで計算すると露出時間は5.5秒四捨五入しても6秒です。6秒の露出時間で十分な星空を撮影するにはISOの感度をかなり上げる必要があります。そう考えると中望遠以上のレンズ焦点距離での星景撮影は非常に難しいことが分ります。
あくまで500ルールは目安
理想のシャッタースピードは早ければ早いほど星は点として撮影できますが、カメラやレンズの性能によって限界があるので、500ルールはあくまで目安として、覚えておいて大丈夫かと思います。
実際に500ルールに当てはめた露出時間で星を撮影しても、星が線状になる場合もあります。北半球では、北を中心にして星は動いているので、北にある星の動きは少なく、南になればなるほど星の動きが大きくなり線状になりやすくなります。
完全に星を点として撮影するには、方角を考慮に入れつつ、500ルールよりも短めの露出時間に設定する必要があります。若干、星が線状になっていても、PC画面で見る目的であれば、ほとんど気になりませんが、印刷目的の場合は、気を付けたほうが良いかもしれません。
500ルールより正確に星を点として撮影したい場合は、NPFルールで算出した露出時間を適用すると良いと思います。詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてみて下さい。
まとめ
今まで、何となくマニュアル的に星空撮影では露出時間を20~30秒に設定していたものを、500ルールで計算することで適正な露出時間を知り、レンズの焦点距離と関係が理解できたかと思います。
星空撮影でよく言われている露出時間(シャッター時間)20~30秒と言うのは、焦点距離25mmからそれより広角レンズを使用した場合の話だったのです。フルサイズ+超広角であればあるほど露出時間を長くしても星は線状になりにくく、逆にセンサーサイズが小さく広角でないレンズの場合は、露出時間を短くしないと線状になってしまうという事です。
星空や星景撮影の時に、自分のカメラやレンズに合った適正な露出時間を割り出すことで、カメラやレンズの限界などが見えてきて、クオリティの高い写真に仕上げることが可能になり、更には今までとは違った限界ギリギリの撮影にも挑戦できるかもしれません。